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人生を変える小さな生き物②

保健学研究科 横田憲治

1.食中毒とは

2.結核って?

3.性病とは
ヒトの防御能
食中毒

1)食物の毒によるもの
きのこ、ふぐ

2)微生物によるもの
細菌、ウイルス
細菌による食中毒(腸管感染症)

1)毒素型
黄色ブドウ球菌
例数は多い、食物中の腸管毒による。
潜伏期短い(数時間)、症状軽い
ボツリヌス菌
例数は少ない、神経毒
症状重い、時には死亡することもある。

2)感染型
感染型食中毒(腸管感染)

感染型 赤痢型

コレラ型 チフス型
O抗原
腸管出血性大腸菌の症状
3
Vibrio cholerae
•グラム陰性のコンマ型をした通性嫌気性の桿菌
•極単毛性鞭毛を有し、活発に運動する
•至適pHはアルカリ側 (7.6~8.4)
•至適温度は 37℃
•O抗原(菌体抗原)性により分離
O1=コレラ(流行性)
O2-O138=non O1(下痢はするが、非流行性)
O139=コレラ(流行性)
•O1コレラ菌のO抗原はA,B,Cの3抗原因子からなり3つに分類
小川型 (A,B)
稲葉型 (A,C)
彦島型 (A,B,C)
•生物学的特徴によりアジア型(古典型)とエルトール型に分類

•TCBS寒天 sucrose発酵(+)→黄色コロニー
腸炎ビブリオはsucrose発酵(-)→緑色コロニー

ニワトリ クラシカル エルトール


ポリミキシンB コリスチン
溶血性 赤血球 ファージⅣ ファージⅤ VP試験
感受性 感受性
凝集反応 感受性 感受性
V.cholerae O1 ー ー + + + ー ー
アジア型 (古典型)
V.cholerae O1 + + ー ー ー + +
エルトール型
V.cholerae O139 + ー ー ー ー ー +
ベンガル型
Cholera toxin ( CT )

Davy Vanden Broeck 2007

J. Sμncheza 2007

Luz P. Blanco 2006


コレラの現状
• コレラはアフリカ、アジアが流行感染地域である細
菌性の腸管感染症である。

• 毎年10万人以上が感染している。

• 2008年から流行しているジンバブエでは、感染者
は9万人を越え、死者数は4037人に達している。
2006-2008
• コレラは途上国で未だに繰り返し発生する感染症
であり、大きな問題となっている。

• 世界で流行しているのはO1型である。

• 2007年においては、O139は中国とタイでしか発
生していないが、WHOはO139による大流行を危惧
2007 している。アフリカでは現在まで感染例の報告はな
Region Total % Deaths % い。
Africa 166583 93.605 3994 99.082
Asia 11325 6.364 37 0.918 • エルニーニョ現象によって海水温が上昇した1991
Europe 44 0.025 0 0 年に南米で多数のコレラ患者が発生したことにより、
North America 8 0.004 0 0
Oceania 3 0.002 0 0
地球温暖化によるコレラ流行感染地域の拡大を懸
Grand total 177963 4031 念している。
2007
腸管細胞に付着した 細胞の中を泳ぎまわる
病原大腸菌 赤痢菌
入院直後のコレラ患者
大量の下痢とその結果生じ
た脱水のために皮膚が湿潤で
冷たく、頬と手がこけた、意識
レベルが低下したコレラ患者
ベッドの中央部に下痢便排出のための穴があいたコレラコットに横たわるコレラ患者
インドネシア、スラバヤ、ストーモ病院 感染症病棟 1995年
食中毒発生件数(平成8年〜令和元年)

SARAYAホームページより https://pro.saraya.com/sanitation/column/kogure/kogure13.html
正岡子規

石川啄木

国木田独歩

樋口一葉 滝廉太郎
結核 結核患者の喀痰
結核性空洞の切片にみられ
た結核菌(40×対物)
結核菌の培養
結核菌に
対する
免疫反応
結核の
症状

ツベリクリン反応
(結核の診断)
強陽性を示すツベルクリン反応
硬結を伴う二重発赤がみられる
BCG接種

定期BCG接種の時期
「6か月になるまで」
BCGは結核性髄膜炎や粟粒結核
のような重症結核の予防に有効
1歳未満の乳児は髄膜炎や結核
死亡の危険性が大きい
→より早期にBCGを接種する。
「 BCGがついた」
結核感染防止力が大きいN95マスク
95%感染防止が可能といわれている
(高松 勇博士 提供)
クオンティフェロン検査

ツベルクリン反応 QFT
抗原 PPD ESAT-6CFP-10
BCGのアミノ酸配列に BCGには存在しない
類似(99.95%)抗原

BCG接種 影響あり 影響なし


結核感染でなくても陽性 より確実な結核診断

不要な予防投与
性行為感染症
泌尿器、生殖器の解剖
性病を起こす病原体

淋菌(細菌)
トリコモナス(原虫)

クラミジア(細菌)
カンジダ(真菌)

ヘルペス(ウイルス) ガードネラ(細菌)

梅毒(細菌)

エイズ(ウイルス)
髄膜炎菌、淋菌の診断法
1)直接染色検鏡法
2)淋菌の分離培養法
i)使用培地 チョコレート寒天、 Thayer-Martin培地
ii)培養法 ろうそく培養、C02培養
3)同定

病原性
淋菌
性行為感染症
尿道炎、膣炎、子宮頸管炎、子宮内膜炎

髄膜炎菌
流行性脳脊髄膜炎

治療
ペニシリン
PPNG (penicillinase producing N. gonorrhoeae)
ニューキノロン
薬剤耐性菌に注意
LAUTREC
Beet h o ven Mo zar t Sch u b er t

van Go g h LAUTREC Gau g u i n


「遊郭編」
鬼の妓夫太郎の性格について紹介
します。妓夫太郎は先天性の梅毒
からくる容姿のために人々から虐め
られ、蔑まれ続けてきました

緋村剣心の死因が梅毒である
梅毒

T. pallidum
0.1~3.0-5~250 mm
らせん状のグラム陰性桿菌

人工の培地では培養不能
熱、乾燥に弱い
41℃1時間、4℃3〜4日で死滅

歴史上ヨーロッパに現れたのは、 暗視野顕微鏡
1493年
コロンブスが新大陸から持ち帰った。
16世紀になって、ヨーロッパで大流行
日本には30年から50年後に到達。

The French call it the Neapolitan disease,


the Italians call it French or Spanish disease,
and the English call it the French pox.

シューベルト?
ベートーベン?
ニーチェ? 銀染色
コンドームだけでは予防不可
!急増する「梅毒」、その原
因は…
2016.07.15

古くから知られる性感染症「
梅毒」の患者がいま、急増し
ている。昨年は前年比1000
人増、今年は半年で2000人
を超えた。国が注意喚起をし
ているが、専門家はコンドー
ムの使用だけでは万全では
ないと警鐘を鳴らす。
68人 梅毒の届出数は近年大きく
増加しており1)、岡山県の
発生状況(人口100万人当
たりの報告数)は2017年第
3四半期において全国第2
位となっており、岡山県内
で増加が進んでいる2) 。

岡山市保健所では、以前か
ら梅毒届出受理時には、感
染症担当保健師が届出医
師から電話による聞き取り
によって疫学調査をしてい
た。さらに、2017年4月に調
査票を作成し、届出票で得
られる内容に加え、職業、
感染経路、パートナーの有
無などの疫学情報を集積し
てきている。
梅毒届出数推移(岡山市)
2022年6月末時点での届け出数は44件(男性29件、女性15件)
でした。例年と同じペースで発生届が出されています。
半年で2000人突破…流行に歯止めかからず
国立感染症研究所(感染研)によると、全国の梅毒患者数は7月3日の時点で2019人。半年間で
2000人を超え、昨年実績(2660人)の76%に達し、年間4000人台に達する可能性も出てきた。
梅毒流行に歯止めかからず、半年で2000人突破〔2016年7月13日 日経メディカル〕

昨年は1600人→2600人に急増、目立つ若い女性の感染
感染研によると、日本の梅毒患者は2010年から増加傾向に転じ、2015年には前年1671人から
2638人と急増した。女性の増加が目立ち、15年10月時点では前年同期比2倍の574人に。この
うち76%を15~35歳が占めている。
梅毒感染、女性が倍増 妊娠中なら胎児に影響も〔2016年2月16日 朝日新聞〕

妊婦が感染すると、死産や胎児に障害が起きる恐れ
厚労省によると、特に20代前半の女性の感染が前年同期比2.7倍と増加が著しい。妊婦が感染
すると死産や胎児に障害が起きる可能性があり、同省はチラシを配布するなど啓発を強化して
いる。
病原性(病気の進展)

硬性下疳
第1期 所属リンパ節の腫脹

第2期 バラ疹
血行を介して全身へ

LYMPHADENOPATHY 第3期
3週

3ヶ月 各臓器内へ

3年
バラ疹
診断
1;細菌学的診断
暗視野顕微鏡、ギムザ染色
培養不可(動物接種により増やすことは可能)
2;血清学的診断
カルジオリピン抗原
VDRL法、ワッセルマン反応(緒方法) 両者を併用する。
BFPあり
トレポネーマ抗原
TPHA法、FTA-ABS法

BFP(Biological false Positive)生物学的疑陽性


他の感染症(結核、マラリア、レピトスピラ、その他ウイルス)
リウマチ、SLE、自己免疫疾患

治療
ペニシリン、マクロライドが有効
配った用紙に

今日の講義でわかったこと

講義の感想、要望を書いてください。

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