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音楽療法 5

音楽の作用

1. 生理的作用
2. 心理的作用
3. 社会的作用
4. 身体的作用

1.生理的作用
1)音を聴く
・物理的存在としての「音」
・感覚としての「音」
音の波→物体の揺れ→信号→脳内処理 ⇒ 「音を感じる」
「音楽は信号のみならず人間の心に生ずるもの」?

2)生理的作用における論点
音楽―感情―身体
「音の構成、動き、緩急強弱など物理的性質が身体の変化に関わっている」
「心は科学的基礎にはなり得ない」

3)音楽聴取とリラクゼーション
「本人が聴きたいと思う音楽の場合には、共通に身体の緊張が解け、
体表面の毛細血管が拡張して皮膚温が上昇、筋の緊張度が低下」(Thaut)

4)大脳皮質への影響
・感情中枢への影響
音楽が人に与える影響は個別的なものだが、その感情が快・不快、悲喜に関わらず、大
脳皮質の感情中枢に影響を与える

・自律神経系への影響
感情中枢の興奮は、隣接する自律神経中枢に影響を与え、自律神経の支配する内臓諸
器官を賦活・促進的、あるいは抑制的に影響を与える
例・健康な人へのストレス・マネージメント

・運動中枢への影響
音楽は大脳皮質の運動中枢へ賦活的、抑制的な影響を与える。
例・運動会やゲーム、リラクゼーション
しかし曲の作用を特定することはできない
5)認知的なプロセスへの刺激
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音楽を聴く時は、曲の既知・未知、類似・異同等の判断、発展の予測や連想など、認知的
プロセスが起こりやすい (4,5 松井)

2.心理的作用
1)音楽と感情
音楽の「しくみ」が情動に影響を及ぼす
・音楽の流れに沿って期待が高められていき、それが期待通りになったり外れたりするこ
とを通して、聴き手の感情が揺り動かされる(Meyer)
・様々な音の流れの変化が一つの力動として表され、それは感情の力動と類似する
(Taylor,Paperte)

2)感情の誘発
過去に経験した事柄と音楽との関連
・現在持っていない感情が音楽により誘発される
・その音楽を聴いていた時に感じていた気持ち=過去に経験した感情と結びつく
例)馴染みの歌によって当時の記憶が呼び起こされ、感情や発言の表出がみられる

3)発散
・「発散」…内に鬱積していたものが外に出される状態
・歌う、演奏することの他に鑑賞にも発散が起こり得る…関心を持って聴き入る表現行動
・行動化(心に持つ葛藤が不適切な形で生活場面に現れること…例・攻撃的な衝動など)
において、音楽表現がエネルギーのガス抜きの役割も
・発散によって言語化できない情動や欲求が自己自身に受け入れられ言語化しやすくな

4)感情の高揚、鎮静、正常化、浄化
・音楽の気分的特徴
音の動き、リズム、テンポ、和声、長短調、音楽的力動との関係、楽器編成など
・浄化作用
音楽の気分に沿った調子(同質)→その他の様々な音楽的要素(異質)→心が一つの気分
状態に固定定着していることを防ぐ
⇒凝り固まりの状態から柔軟でリフレッシュな気分状態へ

5)励まし、慰め
・音楽のメッセージ機能
作り手、歌い手の聴衆に対する意図的、あるいは偶発的なメッセージが、聴き手と同質に
なり得る

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