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自主性の矛盾

1K17C308-6 原田 脩
本レポートは 課題文献『そろそろ、部活のこれからを話しませんか 未来のための部活講
義』(大月書店、2017)を読んで、私が書評の書き手になったつもりで評価したものである。
また、そのように評価を付けた理由を述べたものである。
私はこの課題文献を読み、(ア)「A+(すばらしい Excellent)」の評価を付ける。(イ)その
ように評価を付けた理由は3つある。まず 1 つ目は「部活のこれから」を新しくつくろうとし
ている姿勢に同じ意見を持ったからである。私は部活は法律できめられているわけでもないし
入らなくてはならない決まりもないのにも関わらず、日本全国の学校のほとんどに部活動が存
在していることに疑問を感じていた。そのような人たちにたいして、この本を読めば部活動に
ついて理解が深まるという理由で様々な人に薦めたいと考えた。この本を読めば世の中の部活
動問題について大勢の人が正しく理解するようになり、改善の方向に向かっていくであろう。
中澤は「日本の部活の目的が、単なる競技力向上ではなく、人間形成だからだ。つまり、日本
の部活は、『一般生徒の教育活動』と言える。だから日本の学校では、スポーツが苦手な生徒
も含めて多くの生徒に、部活として、スポーツにふれる機会を与えているのだ。(中澤、2017、
p 21)」と述べている。日本と海外の学校を比較し、日本の学校の部活動の加入率がなぜ高い
のかが分かる。私はこの本を読んでから部活動が教育活動の一貫であると考えるようになった
私以外にも部活動の目的は何か、日本が部活動の加入に対してなぜ半強制的な体制になってい
るのか即答できない人は多くいるだろう。私は部活を新しく作っていくためにはこれまでの部
活を知ってもらい、良いか悪いか判断してもらう必要があるだろう。だから、多くの事実や研
究結果を語るこの本は良い影響を与えられると感じた。理由の2つ目はスポーツと学校が結び
付けられ部活が成立していることに関しての記述から、部活動の変化をきっかけにして日本の
社会をより良くできるのではないかと考えたからである。私は部活動をとりまく問題と日本の
社会問題には関連があると感じる。スポーツと学校が結び付けられる理由の 1 つに「人格形成
説」(中澤、2017、p 26)がある。しかし、筆者はこの説に疑問を抱いている。スポーツをする
と人間性を磨けるのかという点において私も疑問を感じている。この説に対して筆者は「ス
ポーツをすると『スポーツ馬鹿』に囲まれて非行に走りがちになる、といった真逆の研究結果
もある。結局のところ、いろいろな研究結果を冷静に見渡してみると、スポーツは良い人間を
つくるかどうかはわからない、スポーツは人格形成に役立つかどうかわからない、という結論
になる。」(中澤、2017、p 27)と結論を述べている。この結論を見て、スポーツをしていると
精神的にもタフになって人格が良くなると考えていた私にとっては衝撃的だった。また、中学
生や高校生の年代ではすでに人格は決まってしまっていると推測した。部活動は人間的成長は
促されるが根本的な人格や個々の性格を良くすることにあまり期待は出来ないと分かる。中高
生の親の中には人格形成や厳しい指導を望んで、部活に入らせる方もいるのではないか。しか
し、この結論が出ていることを伝え、先入観や誤解を解いていくことが新たな部活を作ってい
くうえで重要である。理由の3つ目は部活動は自主性を重んじる一方で教師に強制されている
ことが多くあるということに強く同感したからである。私自身が教師にとっても生徒にとって
も自主性という言葉が問題を起こしていることに気づかされた。自主性という言葉が持つ問題
の 1 つに「部活の制度があいまいである理由は、『自主性』の理念を掲げているからだ。あい
まいさをなくして制度をはっきり整えたら、それは『自主性』にもとづくものではなくなる。
つまり『自主性』の理念を掲げるかぎり、部活の制度は、あえてあいまいでなければならない
ということになる。」(中澤、2017、p 226)と中澤は述べている。この問題に対して、自主性
の理念を掲げているのにも関わらず実際の指導現場や部活に加入することまで自主的ではない
ということに違和感があった。私の経験からも練習メニューで自主性が発揮されることはなく
練習が休みになった日は大いに喜んだ記憶がある。私も筆者と同じ意見を持ち、自主性の理念
を掲げるのか見直すべきであると思う。法律の範囲を守らないような自主性は生徒の立場から
も教師の立場からも認められるべきではない。以上の理由から課題文献を読み、(ア)「A+(す
ばらしい Excellent)」の評価を付けた。

参考文献
中澤篤史「そろそろ、部活のこれからを話しませんか~未来のための部活講義~」第1刷発行
大月書店、2017 年

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