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Film coating - パウレックウエビナー2022年第11回「フィルムコーティングの不良錠とコーティング機」
Film coating - パウレックウエビナー2022年第11回「フィルムコーティングの不良錠とコーティング機」
コーティング工程2回目
フィルムコーティングの
不良錠とコーティング機
2022/11/16
1 大谷茂義
Confidential
概要
Agenda
第1章 シュガーコーティングとの比較
第1部 フィルムコーティングの 第2章 エロージング 過剰水分 面荒れ 肌荒れ 皺
不良錠
第3章 ピッキング ピーリング くぼみ 孔あき 陥没 爆発
第4章 フィルムのポッチ 膜剥がれ
第5章 肌荒れ錠 展延不良 Lớp màng thô
コーティング不良錠
・面あれの殆どはコーティング操作開始から 20分程度で発生する場合が多い。
Hầu hết hiện tượng nhám bề mặt thường xảy ra trong khoảng 20 phút kể từ khi bắt đầu bao phim
・コーティング初期の条件設定が重要である。
Thiết lập điều kiện khi bắt đầu bao phim là rất quan trọng
・コーティング初期はコーティング状態を観察すること。
Quan sát tình trạng lớp màng bao khi bắt đầu bao phim
◆不良錠の名称は各会社、個人でマチマチ
不良の状態で表現する場合
不良の原因で表現する場合
◆不良錠は殆どが全ての錠剤にできるわけではない
殆どが ほんの一部に発生する
Hầu hết chỉ xảy ra trong một số ít viên
◆原因はコーティング条件だけでなく
打錠が原因の場合 Nguyên nhân không chỉ là tình trạng lớp màng bao
造粒が原因の場合
原料特性が原因の場合 等々がある
3
本稿では 分類はしているが 原因や状態が複数ある場合もある
概要 Confidential
フィルムコーティング錠の品質留意事項 Cân nhắc về chất lượng đối với viên nén bao phim
(3)主薬成分の溶出性、 崩壊性
Phân rã và hòa tan các thành phần chính
(4)コーティング中の熱や水分のストレスが主薬の安定性に影響
Độ đồng nhất nhiệt và độ ẩm trong quá trình bao phim ảnh hưởng đến độ ổn định của thuốc
(5)微生物汚染 特に水溶媒コーティング液の保管
Tạp nhiễm vi sinh vật, đặc biệt là khi tồn dư dung môi nước
(6)可塑剤PEGは、経時的に主薬を溶解してコーティング層へ移行させる可能性がある。
可塑剤による味の変化、 主薬との反応性 経時的な変化
Chất hóa dẻo PEG có thể hòa tan hoạt chất theo thời gian và di chuyển đến lớp màng bao.
Thay đổi mùi vị do chất hóa dẻo, phản ứng với hoạt chất, Thay đổi theo thời gian
品質評価項目 ①外観 (色斑、異物、膜の付着、 めくれ等) Hình thức (đốm màu, dị vật, độ bám dính
của màng, bong tróc, v.v.)
Thuộc tính đánh giá chất lượng
②重量 (平均値とバラツキ) Trọng lượng (giá trị trung bình và sai lệch)
Độ tan rã
④崩壊(崩壊度) 主薬成分の溶出(溶出試験) Độ hòa tan
⑦錠径、 錠厚、(平均値とバラツキ) Đường kính viên, độ dày viên, (giá trị trung bình và sai lệch)
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概要 Confidential
コーティング被膜の層厚みを測定する方法
Độ dày màng bao, thông thường là
コーティング層の厚みは 通常、20~100μm
Sử dụng kính hiển vi
顕微鏡法が最も速い
Cắt viên bao và quan sát mặt cắt ngang
コーティング錠を切断して、断面を観察する。
Thông thường, độ dày màng có thể được đo ở mức ×200 đến ×1000
通常、 ×200~×1000で膜厚は測定できる
Kính hiển vi điện tử được sử dụng để quan sát tình trạng của lớp màng bao.
コーティング層の状態を観察するには、電子顕微鏡になる
錠剤を切断する治具
Viên nén
錠剤
5
Confidential
フィルムコーティングの不良錠
6
第1部 第1章 シュガーコーティング錠との比較 Confidential
シュガーコーティング錠との比較
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第1部 第1章 シュガーコーティング錠との比較 Confidential
フィルムコーティング錠の良品
Viên bao phim không có bề mặt nhẵn như viên nén bao đường
フィルムコーティング錠は、シュガーコーティングほど円滑な表面ではない
細かいミスト粒を押えて伸ばしたような表面 Bề mặt như thể các hạt sương mịn được ép và kéo dài
シュガーコーティング錠の表面
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第1部 第2章 エロージング 過剰水分 Confidential
第2章
エロージング 過剰水分
面荒れ Bề mặt thô nhám
崩れ錠 Vỡ viên
刻印崩れ錠
刻印埋まり錠
皺
襞
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第1部 第2章 エロージング 過剰水分 Confidential
コーティング初期に局所的な
過剰スプレーによる素錠表面の剥離
他社例)スリップ現象
刻印崩れ錠の切断面
その上をコーティングし、フィルムの乾燥で引っ張り
面あれ部分は孔があいている
フィルム厚みは錠剤面がほぼ均一
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第1部 第2章 エロージング 過剰水分 Confidential
コーティングにより、素錠にダメージを与えないこと
パンへの仕込 仕込時の衝撃
Làm nứt và sứt mẻ viên nén khi bao
バッフル形状による衝撃 錠剤荷重による衝撃
運転中に錠剤の割れ欠け
引掛り、挟込み、パンチング板とパン内壁との隙間
取出し時の錠剤の割れ欠け
Viên bị nứt, mẻ khi lấy ra Khi nhiệt độ khí thải khoảng
42°C Trở nên mịn hơn trong 排気温度が42℃程度の場合
Độ ẩm thâm nhập trong lớp màng bao quá trình phun Bề mặt của
コーティング中の水分の浸透 sương khô, Một chút hơi ẩm
vẫn còn bên trong
スプレー中に細かくなって
ミストの表面は乾燥し、
下掛け 内部に僅かに水分が残留する。
錠剤の温度は38~46℃に上昇させる(予熱)
Hơi ẩm thấm vào bên trong
viên thuốc, Một lỗi được
hình thành ở phần khô, ミストの水分が錠剤内部に浸透しない
Hàm ẩm trong giọt phun không xâm nhập vào bên trong viên nén
bong ra từ đây hoặc nghiền
thành bột. Bề mặt gồ ghề
và giảm năng suất
錠剤が熱くなっていると、水分の吸収や
錠剤内部に水分が浸透し、この水分の浸透した部分と 浸透はない。
乾燥した部分に断層ができ、ここから剥離、又は粉化し、 素錠特性によっては46~53℃
11面荒れ、収率低下が発生する。
第1部 第2章 エロージング 過剰水分 Confidential
前加温及びコーティング開始時に面あれ錠発生
① 液速度が過剰 Tốc độ phun dịch quá cao
As:120NL Ps:80NL
ノズル-錠剤距離が短い Khoảng cách súng phun
đến viên nén ngắn
③コーティング機内壁でのスリップ Trượt trên thành nồi bao phim
殆どが面荒れ錠は刻印割線内の表面は円滑
面あれ錠
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第1部 第2章 エロージング 過剰水分 Confidential
コーティング初期に局所的な過剰水分
・シャクリ現象 ・スリップ現象
素錠の一部が
膨潤し、剥離
凹み
ピーリング
剥離部分にミストが
掛かりコーティング 凹み
乾燥度すればフィルム化による
フィルムは収縮し 凹み
引張力
凹みができる
フィルムの下は空洞
面荒れ エロージョン
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第1部 第2章 エロージング 過剰水分 Confidential
錠剤の挙動
他社例 スリップ現象 シャクリ現象
バッフル: プレートバッフル
時々流動が停止
転がりが止まる
穴ぼこ
面荒れ
錠剤の飛び散り
ピーリング
ピッキング
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第1部 第2章 ッロージング 過剰水分 Confidential
面荒れ錠
面荒れ錠
刻印が潰れて読めない
エロージョン
(オーバーウエッティング)
コーティング初期にミストが大きく、液速度は過剰
◆液が短径方向に流れている
◆ミスト面(被膜)が垂れて盛り上がっている
面荒れ錠 ◆スプレー液が過剰気味の場合は
刻印の中は比較的平滑になる
15 黒っぽい点は顕微鏡の汚れ
第1部 第2章 エロージング 過剰水分 Confidential
⇒ 排気温度 : 38~40℃
刻印埋まり、刻印崩れの場合は、
1)前加温で発見できれば、
錠剤硬度の不足や脆さが原因
2)コーティング開始~10分程度で発見される場合は
初期スプレー液速度の過剰 と 回転数が過剰
錠剤流れの乱れ (シャクリ現象)
前加温の不足
アトマイジングエアの不足又はリバウンド
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第1部 第2章 エロージング 過剰水分 Confidential
スプレーノズル噴霧角度 <垂直噴霧>
穴ぼこ
飛び散り
錠剤流れの停止
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第1部 第2章 エロージング 過剰水分 Confidential
タワミ シワ 長細い変形錠
錠剤は短径方向に転がる
高水分状態ではフィルムは水分により伸びている(膨張)
素錠との間に剥離が発生
錠剤と膜剤との付着が不足
錠剤の収縮
膜剤の伸長
膜剤の急激な乾燥
膜剤の急激な湿潤
錠剤の転がりにより皺ができる
対策 :コーティング中の錠剤水分を下げる
・スプレー液速度を減少
写真:(株)パウレック長谷川氏から拝領 (給気温度、給気風量、回転数のUP)
コーティング初期のスプレー液速度が過剰で、素錠表面が水分を吸収し膨潤する。
フィルム層ができた後に乾燥により、水分の気化と素錠の収縮で層との間に隙間ができ、タワミになる
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第1部 第2章 エロージング 過剰水分 Confidential
発生原因
1)スリップ現象
2)素錠への局所的吸水崩壊による表面剥離
対策
1)の場合 :発生は機械的な改造
2) スプレー液量の減少、 給気風量or温度のUP 等で排気温度をUPする。
例えば、45℃以上(TC-5の場合)
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第1部 第2章 エロージング 過剰水分 Confidential
写真:(株)パウレック長谷川氏から拝領
この錠剤表面のように素錠の状態に溶解したような面がなく、
表面の凹凸を押えたような面状になっている場合は、コーティング終期の
スプレーミスト径が大きい、スプレー液粘度が高い、添加剤の分散不良
が原因の場合が多い
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第1部 第2章 エロージング 過剰水分 Confidential
フィルムコーティング時に定期的にサンプリングして重量(被膜量)確認する
サンプリング
スプレー停止
コーティング中の水分を含有した状態
コーティング錠の最終被膜量
乾燥
水分 %
NIRで
連続的に
測定 被膜量:**㎎
素錠重量
予熱時最終重量
コーティング時間短縮のために
スプレー初期は 液速度を更に増大
予熱終了 錠剤表面がほぼ均等に
液速を抑え ピーリング防止のために
スプレー開始 排気温度はやや 被膜されると
回転数をUPする
前加温 液速度を若干増大し、
高くする
①コーティング時間短縮 スプレーⅢ
②被膜の展延向上を図る
スプレーⅠ
スプレーⅡ
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コーティング時間
第1部 第3章 ピッキング ピーリング くぼみ錠 Confidential
第3章
ピッキング ピーリング くぼみ錠
孔あき錠
爆発錠
陥没錠
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第1部 第3章 ピッキング ピーリング くぼみ錠 Confidential
コーティング錠の表面に凹んだ個所を認める
凹み個所の下層部はコーティングされている
位置に法則性はない
ピッキング (孔あき) くぼみ錠
スプレーミストが不均一か、乱れ(偏り)が発生し、
粗いミストが付着した部分が剥離
細かいピーリング:コーティング後期にミストが大きく、
ミストが付着した部分が剥がれた痕跡
通常、後半スプレー液速度を増大する。
アトマイジングエア量をUPしないため、ミストは粗くなる傾向を示す。
錠剤の膜厚は分厚くなっているので、膜同士が付着しやすくなっている
(小さいピーリングは外観検査機で除去し難い) 対策:ドラム回転数をUPする
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第1部 第3章 ピッキング ピーリング くぼみ錠 Confidential
陥没錠 (ピッキング)
フィルム面が爆発したように見える
爆発錠
スプレーノズルのセット不良による液のボタ落ち
フィルム破片は排気に吸引される場合が多い
液垂れした部分が素錠の表面を剥ぎ取り、剥離
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第1部 第3章 ピッキング ピーリング くぼみ錠 Confidential
コーティングにおける荷重とピーリング
仕込量が大きいほど錠剤に荷重がかかる
ミストが大きい場合
メクレ部分
平滑な接触面が大きい場合
双子錠を手で剥がしたもの
ミストの乾燥が遅い場合
フィルム層の水分が高い場合(排気温度が低い)
錠剤が大きい場合
フィルムが厚くなり、水分は低くてもフィルムの付着力が増大する場合がある
コーティング後半はコーティング層が分厚くなるので、層自身の粘性も増大するので、
錠剤間の付着性も増大する。
この分だけ、徐々にドラム回転数をUPすること
パン底部の輸送領域のコーティング錠は転がらずに荷重による圧縮を受けている
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第1部 第3章 ピッキング ピーリング くぼみ錠 Confidential
コーティング初期に薄い被膜の上に液滴または
コーティング面の孔あき
大きいミストが付着し、他の錠剤に付着し膜が剥がれる
コーティング初期のピッキング Capping傾向の錠剤に発生しやすい かえり
ピッキング
対策; ・ キャッピング傾向を抑制(上杵面に多い)
・ PEG6000などを添加し 摩擦を抑制
・ 初期(下掛け)時のスプレー中の水分を減少
・ 給気の湿度調整
(スプレー初期の過剰水分でのコーティングを防止)
・ 仕込量を減少(錠剤同士の付着剥がれの抑制)
・コーティング初期はミストを小さくして、 剥がれた上にコーティングが施される
製品温度を高くし、低水分でコーティングする
(素錠中の吸湿性原料に注意)
コーティング初期の剥がれたものは
薄いため排気へ
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第1部 第3章 ピッキング ピーリング くぼみ錠 Confidential
Peelingのメカニズム 剥離した破片は他の錠剤に付着
対策:ミストを細かくし、
ミスト(液滴) 水の浸透を抑制する
水分が素錠内に拡散
水分が拡散し僅かな膨潤(膨張) 摩擦
断層 → 空間 剥離
断層から剥離
フィルム強度
収縮
剥離
対策:PEG6000などを添加し摩擦を減少させる場合もある。
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付着した側が突起、剥離した錠剤が孔あき錠になる場合もある。
第1部 第3章 ピッキング ピーリング くぼみ錠 Confidential
ピーリング (剥離錠)
コーティング初期の層の薄い時期に 脆い素錠表面をえぐりとるように剥離する場合と。
コーティング後半にコーティング液速度が過剰((ミストが大)の場合に
膜が分厚くて錠剤同士、付着し、剥離又は付着する場合がある
コーティング層が厚くなると、水分の浸透がなく
大きい剥離を認めなくなることが多い。
対策
:回転数のUP
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第1部 第3章 ピッキング ピーリング くぼみ錠 Confidential
ピーリング 素錠自身に脆い、強度の低い部分がある場合
打錠時に、空気の抜けが悪く、キャッピング傾向がある場合
APIの含有量が多く、APIが嵩高い
錠剤が大きい
錠剤のRが深い
臼と杵の公差が小さい など
錠剤の上面に空気が溜まって表面荒れができる
気体部分の膨張
弱い断層
膨脹
錠剤の内部強度が弱い
対策:PEG6000などを添加し
摩擦を減少させる。
他の錠剤との衝撃、付着で剥離 打錠時のキャッピング対策
ミストによる水分の偏り
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第1部 第3章 ピッキング ピーリング くぼみ錠 Confidential
膜剥がれ 穴あき錠ができている
素錠の内部まで剥離している
×200
膜剥がれ
×50 穴あき錠ができている
穴があいた後フィルムがかかっている
×200
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第1部 第3章 ピッキング ピーリング くぼみ錠 Confidential
FCコーティング機とピッキング
1) 錠剤とFCコーティング機内面との剥離
錠剤―錠剤のピッキングよりも早い段階で発生する
錠剤はバッフルの根元の付着する
付着した錠剤のフィルムは剥がれ易い
バッフルに付着したフィルムは他の錠剤に付着してか
パンチング板から排気に廃棄される。
バッフル バッフルに付着した錠剤の落下で気づく場合が多い
対応; バッフル根元に付着を発見したら、直ちに
液速度を減少、風量UP 回転数UPするなどの対策をとること
回転数UPとスプレー液速度Downは即効果
給気温度UPは効果が遅い
2)錠剤―錠剤間のピッキング
通常、バッフルの根元に錠剤付着が発生したのち発生する場合が多い
錠剤の剥がれた部分はピーリング孔に、 付着した部分は突起になる
錠剤の平面同士が付着しやすい 双子錠
カプセル型錠 おむすび型錠 平錠 など
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対応 ;液速度を減少、 風量UP 給気温度のUP 回転数のUP など
第1部 第3章 ピッキング ピーリング くぼみ錠 Confidential
スティッキング
① ピーリング現象で剥離した切片が濡れた錠剤表面に付着
② バッフルやドラム壁面へコーティングされた原料、被膜が蓄積したものが、
剥離脱落した切片が濡れた錠剤表面に付着
コーティング中期~後期
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第1部 第4章 フィルムのポッチ Confidential
第4章
フィルムのポッチ
パン内壁被膜の付着
膜剥がれ
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第1部 第4章 フィルムのポッチ Confidential
コーティング表面の凹凸
突起
ポッチ?
HPMCの一部ゲル化したスプレー液を噴霧?
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第1部 第4章 フィルムのポッチ Confidential
被膜層が完全に剥がれて素錠表面が見える
フィルム錠の ポッチ 縁部分が盛り上がっている
×50
×50
×200
正常な表面
×50
×200
スプレー液量過剰(水分過剰)におけるピーリング
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第1部 第4章 フィルムのポッチ Confidential
フィルムコーティング錠のポッチ
×50 ×200
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第1部 第4章 フィルムのポッチ Confidential
フィルムコーティング錠のポッチ ×200
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第1部 第4章 フィルムのポッチ Confidential
フィルムコーティング
剥がれた被膜の付着錠
剥がれた被膜は付着
この部分は被膜同士の結合力が大きい
ミストが集中又はミストが大きい
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第1部 第4章 フィルムのポッチ Confidential
フィルムコーティング 不良錠
ポッチ
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第1部 第4章 フィルムのポッチ Confidential
膜剥がれ錠 中は空洞
パン内壁の付着層が剥離し、錠剤に付着
バッフル先端に付着した付着層が剥離
錠剤はパン内壁に付着して付着層を剥ぎ取る
その上にコーティング
刻印の上にフィルムが被さっている
覆っているフィルムの表面は比較的円滑であり、
別の錠剤のコーティング被膜をはがして付着したようには
見えない
(剥がしたのなら表面側に粉末が付着しているはず)
刻印の部分は空洞 被さっているフィルムも、錠剤表面のフィルムも
刻印内部にもコーティングが施されている
40
刻印部のフィルムも 厚さが約15μmで同等
第1部 第5章 肌荒れ 展延不良 Confidential
第5章
肌荒れ
展延不良
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第1部 第5章 肌荒れ 展延不良 Confidential
錠剤の形状とコーティング
錠厚と錠径は同じ錠剤
(1) 錠剤検査に錠径側と錠厚側の区別がない
(2) PTP包装で錠径側と錠厚側の区別がない
(3)コーティング時に転がりやすいので、
長径側に先端のコーティング層が薄くなる
錠剤形状はカプセル型で厚さと胴径が殆ど 同じため、短径方向に転がりやすい
このため長径方向の両端の厚みが 薄い傾向にある。
×200
×50 厚い
厚い
薄い
薄い
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第1部 第5章 肌荒れ 展延不良 Confidential
錠剤の形状とコーティング
厚みと幅が同じオブロング錠は短径方向に転がる
横の面にミストが掛かりにくい
展延しにくい
ミストが掛かりにくい面
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第1部 第5章 肌荒れ 展延不良 Confidential
肌あれ錠
ミストが粗い場合
展延がない
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第1部 第6章 ブリッジング Confidential
第6章
ブリッジング
ロゴブリッジング
フィーリング
刻印埋まり
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第1部 第6章 ブリッジング Confidential
ブリッジング (フィルムの浮き上り)
フィルムの裏に粉末が付着
過剰水分で下掛けを行ったとき
コーティング膜がない
水分が浸透して軟弱な部分ができる
フィルム(コーティング中)の過剰水分から、
錠剤の低水分への移行
刻印内をはぎ取る
フィルム膜が収縮する
フィルム強度が過大 液粘度が高い
コーティング中の水分が過剰
コーティング液の濃度が高い
コーティング途中からの乾燥が強い
46
第1部 第6章 ブリッジング Confidential
平成19年度 製剤機械技術研究会/固形製剤教育研修会
科研製薬総合研究所 大熊盛之
フィルムコーティング錠の断面 大谷追記
(走査型電子顕微鏡写真)
被膜
被膜 刻印部 刻印部
錠剤
被膜の収縮、引張
被膜の裏に粉末付着 ブリッジング
47
第1部 第6章 ブリッジング Confidential
素錠 対策:
1)錠剤とスプレーガン距離を短くする
このとき、パターンエア量をUPして
パターンを調整する
2)給気温度をさげて排気温度を下げる
大凡3~5℃下げる
:ピーリングが発生しない程度
3)アトマイジングエア量を減少しミストを
大きくする
48
第1部 第6章 ブリッジング Confidential
フィルムの乾燥収縮により刻印部剥離
フィルムが分厚くなるほど、フィルムの引っ張り力は増大する。
藤井氏拝領写真
49
分厚くなってブリッジングが発生する
第1部 第6章 ブリッジング Confidential
コーティング
:HPMC, タルク、 酸化チタン、
乳糖、三二酸化鉄2種
平べったい錠剤の場合、液速度(水分)を増大させられない。(ピーリングを懸念)
従って、排気温度は高い(低水分コーティング)
このため、展延力のない割線や刻印に埋まりができやすい
対策:やや液速度を増大し、排気温度を下げて、液自身の展延で面を円滑にする。
50
第1部 第6章 ブリッジング Confidential
スプレーミストと被膜と素錠
高温度 適正な温度 低温度
=低水分でコーティング =適正な局所水分 局所的な高水分でコーティング
ミスト 表面が乾燥し ミスト ミスト
ミストの粘度は増大
ミストの水分が高い
ビチャ
素錠
素錠 水が浸透し素錠表面は膨潤し
素錠 断層ができ剥離する
スプレードライ直前で付着は 素錠や初期被膜に水が残留
するが、展延できない すればガス化
素錠
割線刻印の中
割線刻印の中
素錠 ビチャ
ミストが展延して被膜になる 割線や刻印は錠剤同士が擦れ
ピーリングが発生しないように 合わないので浸透した水は
51
巣が出来る 回転数をUPする そのまま乾燥
第1部 第6章 ブリッジング Confidential
ダスティングと溶出 ダスト
腸溶性コーティングは水分を高めで均一にコーティングする
リバウンド
コーティング中に擦れて
エッジ部分が最も膜厚が薄い スプレードライで
ダスト化
酸溶液に浸すとここから浸透する
腸溶性被膜
ダスティングと耐酸性
素錠
◆乾燥気味にコーティング
◆給気風又は排気風の方向が乱れる
被膜にダストがはいると耐酸性が劣る 特にノズルの背後に給気ダクトがある場合
被膜の緻密さがない場合 ◆パターンエアが大きく、アトマイジングエアが乱れる場合
(乾燥状態でコーティング) ◆仕込量が極端に少ない場合
52
第1部 第7章 めくれ錠 Confidential
第7章
めくれ錠
剥がれ錠
面荒れ錠
孔あき錠
53
第1部 第7章 めくれ錠 Confidential
コーティング層の捲れ コーティング層の剥がれ
ピッキング(孔あき錠) フィルム強度が軟弱
コーティング初期(下掛け)時に
コーティング液速度が多く、水分が過剰で
素錠の表面をえぐるようにして
コーティング層が剥離
液速度が多く、水分過剰の場合に
表面のブツブツができる
孔あき錠
捲られた部分が盛り上がって、孔あき錠
素錠表面が荒れているか
強度が弱い場合のも剥離する。
ポリマーの付着力、展延性が不足する場合 (オパスプレーはこのような面になりやすい)
54
第1部 第7章 めくれ錠 Confidential
コーティング層の捲れ
最もコーティング層が薄く、衝撃がかかり易い部分からコーティング層がめくれている
捲れた裏面に素錠の粉末が
付着している
錠剤面に凹凸ができている
コーティング初期のスプレー液速度が過剰であり、
水が素錠面に浸み込み、強度が弱い部分を形成
フィルムが乾燥し、収縮する引張力で、フィルムが捲れて、
その裏面に弱くなった素錠の粉末が付着している。
対策; 完全に捲れて素錠面にコーティングすると面あれ
1)給気温度を高くし、前加温時間を延長
:基準排気温度45~50℃
(スケールが小さい場合は温度ムラに注意)
2)コーティング初期のスプレー液速度を徹底して減少する。
基準:約30分間初期温度を維持する
3)ドラム回転数を下げる:素錠の割れ欠けを防止。
一旦フィルムが巻くと強度は強くなるので回転数UPができる。
55
第1部 第7章 めくれ錠 Confidential
コーティング層のめくれ
最もコーティング層が薄く衝撃がかかり易い部分からコーティング層がめくれている
めくれ後にも
コーティングされている
56
第1部 第8章 剥がれ錠 Confidential
第8章
剥がれ錠
膜剥離錠
素錠の強度が低い
⇒Stickingが起こりやすい場所
(摩損しやすい)
⇒輪っこ錠
57
第1部 第8章 剥がれ錠 Confidential
剥がれ錠 強烈なピーリング錠
膜剥がれ
錠剤表面が脆い素錠にコーティング
コーティング初期はスプレー液速を下げて、排気温度48℃
終期にスプレー液速度をUPし、排気温度を38~40℃
コーティング被膜ごと剥がれた状態
×50 膜厚み
×200
削れ(初期)
58
第1部 第8章 剥がれ錠 Confidential
剥がれ錠 錠剤強度が弱い部分
Stickingが発生しやすい部分
素錠までえぐれているが、表面に僅かにコーティング層
かなりコーティングの終盤にピーリングが発生
断面
59
第1部 第8章 剥がれ錠 Confidential
2段Rの錠の継ぎ目
R1とR2の間は
錠剤面に垂直に圧縮
錠剤硬度が弱い部分が出来る
R2 圧縮変形
F1
粒子のズレ(移動)
摩損度試験でこの部分が摩損しやすい
打圧が低いのでStickingしやすい
フィルムコーティング時に、この部分で剥離(ピーリング)が
60
発生しやすい
第1部 第9章 イボ付き錠 Confidential
第9章
イボ付き錠
ツノ錠
コブ錠
61
第1部 第9章 イボ付き錠 Confidential
こぶ錠
同時に双子の錠剤ができていることから局所的に過剰水分
イボになる前の面荒れ?
62
第1部 第9章 イボ付き錠 Confidential
63
イボになる前の面荒れ?
第1部 第9章 イボ付き錠 Confidential
高水分膜
素錠 低水分膜
又は気泡
素錠
低水分膜
乾燥による水蒸気
高水分膜
素錠
収縮
64
第1部 第9章 イボ付き錠 Confidential
HPMCコーティング液のイボ錠 (状態1)
推察;
コーティング温度が低く、高湿度の給気により
素錠又はフィルムの中へ残留溶媒が増加し、
コーティング機の高排気風量により、
フィルム形成は速いので表面に閉じ込められた
現象;
1)給気温度が低い
2)排気温度は低いため水分/エタノールが素錠に移動
3)スプレー液速度:300~400g/min(ガン3基)
錠剤の表面全体にある ×150 スプレー液速度を増大するほどイボ生成は増大
4)排気風量、排気吸引の過大
小型機ではイボはない
対策;
・スプレー液速度を減少し、乾燥気味条件とする
・露点制御給気装置を設置
イボは根元部分もフィルムで覆われている。
65
第1部 第9章 イボ付き錠 Confidential
HPMCコーティング液のイボ錠 (状態2)
ナイフで2つに切り、フィルム断面を観察
エッジ部分は綺麗に同じ厚みにコーティングされている
×50
×200
フィルムの盛り上がりがある。
フィルム層の厚みは同じ
フィルムの盛り上がりがある。
フィルム層が厚い。ミストが付着しているように
66 見える
第1部 第9章 イボ付き錠 Confidential
夏場における給気(温湿度)の調整(1)
冷却機で結露まで冷却
(空気は水10g/乾き空気1kgの空気になる)
相対湿度100%
14〜15℃に
冷却し結露
湿度調整機で
絶対湿度を調整する
相対湿度50% 絶対湿度10g/乾き空気1kgの線
加熱
14℃
25℃ 給気温度℃
(露点)
基準空気
◆外気が14℃以下であれば、絶対湿度10g/乾き空気1kg以下の乾燥空気は給気される
◆従って、湿度調整機がない場合、
水分を含んだ給気を送るので、コーティング被膜は高水分の被膜になる
高水分の被膜を急激に乾燥すると乾燥ムラが起きて、イボ錠ができる
67
第1部 第9章 イボ付き錠 Confidential
冬場における給気(温湿度)の調整(2)
もし、湿度調整機を設置しないのであれば、
①外気又は機械室の温湿度を測定し、(天候が急変すればその都度)
②外気が14℃以下であれば、絶対湿度10g/乾き空気1kgに不足する量の
スプレー液速度を増量してスプレーする。
下図で仮に3g/1kg不足する場合は< 3g×風量(質量)分の増量 >
理論的にはこのようになるが、給気の水分とスプレー液量の水分の違いはある
相対湿度100%
相対湿度50%
gの線
加熱
14℃
25℃ 給気温度℃
(露点)
68
基準空気
第1部 第10章 過剰艶 Confidential
第10章
過剰艶
艶出し剤の影響
錠剤の滑りの影響
艶出し操作の影響
添加量
艶出し時間
転がりがなく滑りのみ
69
第1部 第10章 過剰艶 Confidential
過剰艶
① コーティング溶液が過剰である場合、
② スプレーガンが錠剤に近すぎるときなど
局所的に錠剤表面の艶が過剰になる
全体に艶が出るのではなく、局所的に発生する
コーティング終期に発生
色ムラ
下掛けコーティング後に、表面の凹凸をなくす目的で、
通気しながらドラム回転だけをしていたところ
70
艶が出て液が掛かる錠剤 と 掛からない錠剤に別れる 場合がある
第1部 第10章 過剰艶 Confidential
錠剤表面の面あれ(テカリ)
転がりよりも滑ってはいないか?
メトロース(メチルセルロース)を用いる錠剤のコーティング
71
第1部 第11章 色ムラ Confidential
第11章
色ムラ
フィルムコーティング条件のムラ
スプレー液の色素等の分散不良
72
第1部 第11章 色ムラ Confidential
白い斑点錠
◆ノズル,ノズルアームなどに堆積したダスト(微粉末)が
コーティング中に落下して錠剤表面に付着したもの
パンコーティングでスプレーする場合に発生しやすい
ダスティング気味でコーティングした場合に発生
一旦、ノズルやアーム(配管)に付着した粉末は落下させない
◆スプレー液調製時に、分散するのにホモジナイザーを用いずに色素を分散させた
73
第1部 第11章 色ムラ Confidential
第7期第6回製薬技術研修会
2012/10/11信越化学工業㈱)
TC-5 の水系コーティング
3. スプレー状態の改善
アトマイジングエア量を増大
パターンエア量を調整
スプレーガンの数を増加
錠剤-ガン距離を広げる
4. コーティング液の固形分濃度が高い
固形分(基剤、色素)を少なくする
5. 素錠の隠蔽力が弱い
アンダーコーティングを施す
例えば、TiO2の増量
74
第1部 第11章 色ムラ Confidential
コーティング錠の色斑
着色したコーティング液をスプレーして、着色フィルム錠とする場合、
錠剤の手前と中央部、奥と中央部の錠剤の動きが小さく、手前の錠剤の着色が遅れる
充分に液が噴霧されるので
着色が速い領域
通常、1~2時間程度は濃い色に
混じって、薄い錠剤が観察される。
この錠剤のコーティング層の厚さは
液が掛からないので 薄いことになる。
着色が遅れる領域
被膜成分によって、又は回転数の増大により、流動面が広がる傾向が場合がある。
対策:
・ ガン-ガン距離を広げて、 パターンエアを調整して、手前ギリギリから、奥のギリギリまで
均等にスプレーできるようにする。
・ バッフル形状を パウレックコーター-EVO のようにして、錠剤を手前から中央に
強制的に移動する
75
第1部 第11章 色ムラ Confidential
錠剤の切断面 着色:やや薄い
FC被膜厚み
着色:濃い
28.4μm
膜厚:34.6μm
着色:薄い
被膜厚みは35μm以上を目標にすること
被膜が薄いときの厚みは均一ではない 膜厚:21.7μm
76
第1部 第11章 色ムラ Confidential
酸化チタン:20%以上添加した場合に、コーティング機内部での摩擦で錠剤が黒ずむ
酸化チタン:30%
黒ずみの成分(X線マイクロアナライザー)
Fe Cr Ni
対象錠剤 ND ND ND
黒ずみ錠 300 60 30
SUSの成分
77
第1部 第12章 削れ錠 Confidential
第12章
けずれ
削れ錠
削れと剥がれの違いをみること
削れ は、回転数が高すぎて
錠剤が滑る場合に起こりやすい
78
第1部 第12章 削れ錠 Confidential
削れ錠 錠剤が転がればスベリ摩擦はない
スベリ摩耗
フィルムが剥げる
白い下地で、錠剤ごとの色斑
仕込量が増大するほどスベリ摩耗大
約0.02㎜錠厚低下(摩損)
乾燥(ダスティング)気味にコーティング
このため、コーティング膜が脆い
錠厚が減少する
対策;
(1)スベリを抑制するため、2段R錠とする。
(2)仕込スケールをDownする。
300㎏⇒120㎏(荷重の減少) コーティング途中の錠剤
(3)コーティング機内での錠剤流れを遅くする。 (回転数をdown)
(4)コーティングの前加温時にSt-Mgを微量散布する。
(5)排気温度を下げて、展延を強くし、コーティング膜の強度をUPする。
①給気温度をdown 給気風量をDown しスプレー液速度を速くする
②一膜できたら、給気温度、風量、スプレー液速度を調整してコーティングする。
79(6)PEGなどを添加して、滑り摩擦を抑制する。
第1部 第12章 削れ錠 Confidential
錠剤形状 と 回転数
流れ パンの回転数が増大すると
滑り 平錠は流れ・滑り傾向
1方面にミストが集中的にかかり、
ピーリング傾向が、局所的に認める
隅角平錠
数は少ないがピーリングは大きい
一方面にへこみや刻印崩れが
転がり できやすい
適正な回転数がある
2段R錠
全体にミストがスプレー
80
第1部 第12章 削れ錠 Confidential
第7期第6回製薬技術研修会
削れ/付着 (Picking/Sticking)
1. スプレー速度が大きい
2. スプレーミストが大きい
アトマイジングエアを増大
3. パン回転数が遅い
⇒転がらない
4. 乾燥が不十分
スプレー液速度を小さくする
乾燥条件の改善
⇒被膜が軟らかい
5. スプレー液の分布不良
アトマイジングエアを増大
スプレーガン数を増加
削れた面が円滑な場合は、パン回転数が高すぎ、スリップによる剥がれである
81
第1部 第13章 付着錠 Confidential
第13章
付着錠
水濡れ錠
双子錠
ボタ落ち錠
液垂れ錠
汗かき錠
付着錠が 剥がれたら、ピーリング
局所的な高水分のためピーリングと一緒に発生する場合もある
82
第1部 第13章 付着錠 Confidential
コーティング不良錠
水濡れ錠
(1)スプレーノズル アーム内の残水
(2)洗浄ノズル内の残水
(3)Screen と 多孔板又はパックングとの隙間
水濡れ錠の多さ、ひどさ などで位置を想定する
ノズルのセットを確認する
剥離錠で、稀に発生する場合は、
ノズル内又はチューブに水が残留して、コーティング開始時に、漏れる場合もある
83
第1部 第13章 付着錠 Confidential
液垂れ錠 水ぬれ錠
・アトマイジングエアの噴霧がない
スプレー液のボタ落ち ・液ホース接続誤り,破損
・パンの乾燥不十分
・ノズルのセットミス
・ノズル先端の付着による液垂れ
2~4錠が付着
84
錠剤が分離すれば、ピーリングになる
第1部 第13章 付着錠 Confidential
ピーリング錠と兄弟
素錠の形状 と 付着錠
高さ(錠厚)と短径(幅)がほぼ同じオブロング錠剤は、
形状の判別(高さ、幅)が付き難いため 平面が多く、双子錠ができやすい
錠剤印刷機、錠剤検査機にかかりにくい
オブロング錠
平錠はボールフィーダーで擦れて、 素錠に適する錠剤
錠剤の頭部分が黒くなる場合がある
僅かにRを持った錠剤
特に研磨作用がある錠剤
錠剤の流れもよく、PTPに供給するとき、
ダルマ方式にも適する
85
第1部 第13章 付着錠 Confidential
×200
液が過大のため、割線内が綺麗
粗い液滴(ミスト)か? 液の漏れか?
×200
86
第1部 第13章 付着錠 Confidential
錠剤同士の付着錠 :双子錠
ノズル先端の詰まり
ノズル先端にスプレー液が固着した場合
ミストが偏る、又は液滴の落下により
双子の錠剤(ピーリング)ができる場合がある
特に、回転数が低い場合にできる
(3rpm⇒5rpmで 解消する場合もある)
平錠、カプセル型のように平面がある錠剤に
発生する場合が多い
ダスティング
87
ダスティング気味のコーティング条件の時に注意
第1部 第13章 付着錠 Confidential
糸引き現象の抑制
Eudragit
高いアトマイジングエアでは, Eudragitは凝集(重合)する
(1) 低圧力 0.2MPa
(2) 高風量
(3) ノズル孔径を広げる :液速度(スピード)を減少する
(4) 低温でコーティング
:給気温度 :40℃以下
:排気温度 :27~30℃
(スケールが大きくなるほど低くすること)
PVAコポリマー
結合力が強いので、乾燥気味でコーティング
(1)給気温度を高くする 給気温度 :80~85℃
(2)排気温度を高くする 排気温度 :50℃程度
(3)ミストは小さく 高圧力、 高風量
88
第1部 第13章 付着錠 Confidential
汗かき現象 着色錠
コーティング錠の保管中に錠剤表面が白くなる現象
シュガーコーティングでよく発生する現象
一種の結露現象
1)錠剤が温かいまま、密封して、20℃程度の倉庫 又はそれ以下の場所に保管する
コーティング錠は表面が乾燥して、排気温度が上昇し、冷却工程を入れても、
錠剤の内部水分は残存している。
また、密封により内部温度、水分は拡散する。
これにより、ドラム缶側面に近い部分が結露又は吸湿する。
2)水分により、錠剤表面は退色する。
3)対策
・ 一昼夜程度ドラム缶を解放してから密封
・ 冷却時間を徹底して延長する
・ 平たい容器又は濾布に受けて一昼夜放熱させる
(顆粒剤など細かい粒の場合は38℃以下に冷却後収缶)
89
第1部 第14章 打錠障害の素錠をコーティング Confidential
第14章
打錠障害の素錠をコーティング
Capping錠
Sticking錠
Cappingはコーティング中に剥離する場合がある
Sticking錠をそのままコーティングする場合がある
90
第1部 第14章 打錠障害の素錠をコーティング Confidential
コーティング機内でキャップが剥離する場合がある
CappingのDNAを持った錠剤
粒子間の付着力が小さい場合
結合力の不足
打錠機の回転数が速く、粉末中の空気の抜けが悪い
・過剰滑沢剤混合 キャップ部分
キャップ部分
・滑沢剤混合機での過剰滑混
・バックバンドからの供給が過剰
・攪拌フィーダーの回転数の過大
・滑沢剤量の過剰
・過剰打圧 (応力の増大) など
91
打錠途中で発生する場合は攪拌フィーダーでの過剰滑沢剤混合の場合が多い
第1部 第14章 打錠障害の素錠をコーティング Confidential
Sticking(エクボ錠)をコーティング 写真はコーティング錠
打錠時、上杵にSticking
上杵に付着
Sticking錠にフィルムコーティング
92
第1部 第14章 打錠障害の素錠をコーティング Confidential
崩壊剤
剥離部分の層の厚みが他とさほど差がないことから
コーティング初期に天部分が剥離
①天部分は強度が弱い
②ここにミスト水分が浸透して膨潤し、
剥離する
③素錠成分に強力な膨潤性崩壊剤
を含有する
93
第1部 第14章 打錠障害の素錠をコーティング Confidential
崩れ錠
コーティング中に帯とキャップの応力が過大に
なる部分が崩れた錠剤
キャッピング傾向錠を
そのままコーティングし、印刷したもの
エッジ部分の大きい錠剤
上杵側
94
第1部 第15章 コーティング時の割れ欠け Confidential
第15章
コーティング時の割れ欠け
クラッキング
コーティング機のパンチング板に挟まる
排出時の衝撃
保管時のガス等でひび割れ
95
第1部 第15章 コーティング時の割れ欠け Confidential
コーティング中の欠けの発生 欠け錠
パウレックコーターのヘーリンボン巣板に挟まる。
→ 丸孔に変更
スケールアップすれば荷重で割れ錠が発生
コーティング機を決めるときに錠剤を持って、
孔に引っかからないことを確認すること。
また、排出ダンパー、バッフル、排出ガイド等
に傷や突起がないかを細かく確認する
こと
96
第1部 第15章 コーティング時の割れ欠け Confidential
ひび割れ錠 素錠に生薬成分を含有
TC-5を基剤としたコーティング錠
バッフル又はパンチング板継ぎ目に引っ掛かり割れた錠剤
強い衝撃
コーティング錠は装置に引っ掛かりがあると、錠剤の荷重で割れる。
コーティング機を選定するときに、前もって錠剤を用いて引っ掛かりがないことを確認すること
97
第1部 第15章 コーティング時の割れ欠け Confidential
ひび割れ錠
大きい排出ダンパーと丸パンの公差(隙間)
コーティング錠の欠け、傷発生の原因
・このような隙間、錠剤が引っ掛かる部分、
バッフルの傷などは検収時に徹底して調査すること
・薄い錠剤、エッジがある錠剤をコーティングするときは
錠剤をあてがって引っかからないことを確認すること
引っ掛かりによりエッジ部の欠け
錠剤の荷重+錠剤流れの力が
モーメントで加わる
大きい割線がある場合も引っ掛かりで
錠剤の流れが停止した時に割線に
引っ掛かり、割線周辺で欠け(傷)ができる ダンパー
98
第1部 第15章 コーティング時の割れ欠け Confidential
錠剤コーティング層のひび割れ
素錠中に含有するクロスカルメロースNa の膨潤による
経時変化(過酷試験)
コーティング錠の吸水による崩壊剤の膨潤
99 シュガーコーティングの場合は被膜が薄いエッジ部分に発生する場合が多い
第1部 第15章 コーティング時の割れ欠け Confidential
バッフルが高い位置にあるとき、転落落下領域にあり、
錠剤と強い衝突が発生し、壊れる
転落流動域にバッフルがないため 転動落下領域
衝突は発生しにくい 錠剤の速度が速く激しく
錠剤速度;低い
錠剤速度;低い
他社装置Aのブーメランバッフル、 スタティックバッフルは激しい落下箇所にバッフルを置き、
錠剤の表面を撹拌し動かそうとしている
パウレックコーターは底の部分を手前から奥に動かし、ピーリングなどの防止を図り、
100 錠剤に優しい動きを目標としている
2022年度 第11回 パウレック webセミナー Confidential
コーティング工程2回目
ご清聴感謝致します
ご指導を頂いた
元塩野義製薬kk藤井敏郎様
武州製薬KK
日本イーライ・リリー製薬KK
ニプロKK 医薬品研究所
ニプロファーマKK鏡石工場
KKパウレック
Fette compacting
の方々に感謝します
KKパウレック
101
2022/11/16 大谷茂義