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2022年度 第11回 パウレック webセミナー Confidential

コーティング工程2回目

フィルムコーティングの
不良錠とコーティング機

2022/11/16
1 大谷茂義
Confidential

概要
Agenda
第1章 シュガーコーティングとの比較
第1部 フィルムコーティングの 第2章 エロージング 過剰水分 面荒れ 肌荒れ 皺
不良錠
第3章 ピッキング ピーリング くぼみ 孔あき 陥没 爆発
第4章 フィルムのポッチ 膜剥がれ
第5章 肌荒れ錠 展延不良 Lớp màng thô

第6章 ブリッジング ロゴブリッジ フィーリング 刻印埋まり


Cầu nối logo

第7章 めくれ錠 剥がれ錠 面荒れ錠 孔あき錠 Bề mặt thô


nhám

第8章 剥がれ錠 膜剥離錠 Viên bong màng

第9章 イボ付き錠 ツノ錠 コブ錠 Mụn cóc

第10章 過剰艶 Độ bóng quá mức

第11章 色ムラ không đều màu

第12章 削れ錠 viên sứt mẻ

第13章 付着錠 水濡れ錠 双子錠 ボタ落ち錠 液垂れ


第14章 打錠障害錠をコーティング
第15章 コーティング時の割れ欠け
第16章 まとめ
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概要 Confidential

コーティング不良錠
・面あれの殆どはコーティング操作開始から 20分程度で発生する場合が多い。
Hầu hết hiện tượng nhám bề mặt thường xảy ra trong khoảng 20 phút kể từ khi bắt đầu bao phim

・コーティング初期の条件設定が重要である。
Thiết lập điều kiện khi bắt đầu bao phim là rất quan trọng

・コーティング初期はコーティング状態を観察すること。
Quan sát tình trạng lớp màng bao khi bắt đầu bao phim

◆不良錠の名称は各会社、個人でマチマチ
不良の状態で表現する場合
不良の原因で表現する場合

◆不良錠は殆どが全ての錠剤にできるわけではない
殆どが ほんの一部に発生する
Hầu hết chỉ xảy ra trong một số ít viên

◆原因はコーティング条件だけでなく
打錠が原因の場合 Nguyên nhân không chỉ là tình trạng lớp màng bao
造粒が原因の場合
原料特性が原因の場合 等々がある

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本稿では 分類はしているが 原因や状態が複数ある場合もある
概要 Confidential

フィルムコーティング錠の品質留意事項 Cân nhắc về chất lượng đối với viên nén bao phim

(1)外観 (色斑、 異物、 膜の付着、 めくれなどの外観)


Hình thức (như đốm màu, dị vật, màng bám dính và bong tróc)

(2)目的の膜増量と 膜の均一性 (遮光性、 不快な味のマスク、 徐放性、 腸溶性)


Độ dày màng mong muốn và độ đồng đều của màng (chắn ánh sáng, che mùi vị khó chịu, giải phóng kéo dài, màng bao tan trong ruột)

(3)主薬成分の溶出性、 崩壊性
Phân rã và hòa tan các thành phần chính

(4)コーティング中の熱や水分のストレスが主薬の安定性に影響
Độ đồng nhất nhiệt và độ ẩm trong quá trình bao phim ảnh hưởng đến độ ổn định của thuốc

(5)微生物汚染 特に水溶媒コーティング液の保管
Tạp nhiễm vi sinh vật, đặc biệt là khi tồn dư dung môi nước

(6)可塑剤PEGは、経時的に主薬を溶解してコーティング層へ移行させる可能性がある。
可塑剤による味の変化、 主薬との反応性 経時的な変化
Chất hóa dẻo PEG có thể hòa tan hoạt chất theo thời gian và di chuyển đến lớp màng bao.
Thay đổi mùi vị do chất hóa dẻo, phản ứng với hoạt chất, Thay đổi theo thời gian

品質評価項目 ①外観 (色斑、異物、膜の付着、 めくれ等) Hình thức (đốm màu, dị vật, độ bám dính
của màng, bong tróc, v.v.)
Thuộc tính đánh giá chất lượng
②重量 (平均値とバラツキ) Trọng lượng (giá trị trung bình và sai lệch)

③水分 残留溶媒 (有機溶媒使用の場合) Độ ẩm/ tồn dư dung môi (khi sử dụng


dung môi hữu cơ

Độ tan rã
④崩壊(崩壊度) 主薬成分の溶出(溶出試験) Độ hòa tan

⑤類縁物質 Những chất liên quan

⑥微生物汚染 Vi sinh vật

⑦錠径、 錠厚、(平均値とバラツキ) Đường kính viên, độ dày viên, (giá trị trung bình và sai lệch)

⑧強度(平均値とバラツキ) Hàm lượng (giá trị trung bình và sai lệch)

⑨コーティング層に主薬配合の製剤は含量均一性 Độ đồng đều hàm lượng hoạt


chất trong lớp màng bao

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概要 Confidential

コーティング被膜の層厚みを測定する方法
Độ dày màng bao, thông thường là

コーティング層の厚みは 通常、20~100μm
Sử dụng kính hiển vi

顕微鏡法が最も速い
Cắt viên bao và quan sát mặt cắt ngang

コーティング錠を切断して、断面を観察する。
Thông thường, độ dày màng có thể được đo ở mức ×200 đến ×1000

通常、 ×200~×1000で膜厚は測定できる
Kính hiển vi điện tử được sử dụng để quan sát tình trạng của lớp màng bao.

コーティング層の状態を観察するには、電子顕微鏡になる

Dụng cụ để cắt viên nén

錠剤を切断する治具
Viên nén
錠剤

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Confidential

第1部 Viên nén bao phim bị lỗi màng bao

フィルムコーティングの不良錠

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第1部 第1章 シュガーコーティング錠との比較 Confidential

第1章 So sánh với viên nén bao đường

シュガーコーティング錠との比較

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第1部 第1章 シュガーコーティング錠との比較 Confidential

フィルムコーティング錠の良品
Viên bao phim không có bề mặt nhẵn như viên nén bao đường

フィルムコーティング錠は、シュガーコーティングほど円滑な表面ではない
細かいミスト粒を押えて伸ばしたような表面 Bề mặt như thể các hạt sương mịn được ép và kéo dài

Bề mặt viên nén bao đường

シュガーコーティング錠の表面

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第1部 第2章 エロージング 過剰水分 Confidential

第2章

エロージング 過剰水分
面荒れ Bề mặt thô nhám

肌荒れ Lớp màng sần sùi

崩れ錠 Vỡ viên

刻印崩れ錠
刻印埋まり錠


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第1部 第2章 エロージング 過剰水分 Confidential

面あれ エロージョン 刻印崩れ錠 隙間

コーティング初期に局所的な
過剰スプレーによる素錠表面の剥離

他社例)スリップ現象

刻印崩れ錠の切断面
その上をコーティングし、フィルムの乾燥で引っ張り
面あれ部分は孔があいている

フィルム厚みは錠剤面がほぼ均一
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第1部 第2章 エロージング 過剰水分 Confidential

コーティングにより、素錠にダメージを与えないこと
パンへの仕込 仕込時の衝撃
Làm nứt và sứt mẻ viên nén khi bao
バッフル形状による衝撃 錠剤荷重による衝撃
運転中に錠剤の割れ欠け
引掛り、挟込み、パンチング板とパン内壁との隙間
取出し時の錠剤の割れ欠け
Viên bị nứt, mẻ khi lấy ra Khi nhiệt độ khí thải khoảng
42°C Trở nên mịn hơn trong 排気温度が42℃程度の場合
Độ ẩm thâm nhập trong lớp màng bao quá trình phun Bề mặt của
コーティング中の水分の浸透 sương khô, Một chút hơi ẩm
vẫn còn bên trong
スプレー中に細かくなって
ミストの表面は乾燥し、
下掛け 内部に僅かに水分が残留する。

ミストが大きく、Kích thước giọt phun lớn 錠剤表面に付着したとき、


排気温度が38℃以下と低く、Độ ẩm khí ra thấp hơn 38 ミストは変形し、展延し膜となる。
錠剤温度が低い場合、 Nhiệt độ viên thấp Khi dính vào bề mặt viên
nén, giọt phun biến dạng và
付着し、展延し、乾燥する
lan rộng thành màng.
bám dính, lan rộng và khô

Tăng nhiệt độ viên nén lên 38-46°C (làm nóng sơ bộ)

錠剤の温度は38~46℃に上昇させる(予熱)
Hơi ẩm thấm vào bên trong
viên thuốc, Một lỗi được
hình thành ở phần khô, ミストの水分が錠剤内部に浸透しない
Hàm ẩm trong giọt phun không xâm nhập vào bên trong viên nén
bong ra từ đây hoặc nghiền
thành bột. Bề mặt gồ ghề
và giảm năng suất

錠剤が熱くなっていると、水分の吸収や
錠剤内部に水分が浸透し、この水分の浸透した部分と 浸透はない。
乾燥した部分に断層ができ、ここから剥離、又は粉化し、 素錠特性によっては46~53℃
11面荒れ、収率低下が発生する。
第1部 第2章 エロージング 過剰水分 Confidential

コーティング錠の面荒れ HPC-L 4%液をスプレー Phun dịch H-PLC 4%

Độ nhám bề mặt của viên nén bao

前加温及びコーティング開始時に面あれ錠発生
① 液速度が過剰 Tốc độ phun dịch quá cao

② アトマイジングエア、パターンエアの不足 Thiếu áp lực khí phun

As:120NL Ps:80NL
ノズル-錠剤距離が短い Khoảng cách súng phun
đến viên nén ngắn
③コーティング機内壁でのスリップ Trượt trên thành nồi bao phim

錠剤流れの乱れ Nhiễu loạn dòng trượt viên nén

殆どが面荒れ錠は刻印割線内の表面は円滑

面あれ錠

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第1部 第2章 エロージング 過剰水分 Confidential

凹み錠 Viên nén sứt mẻ

Dịch dư thừa cục bộ lớn trong lớp màng bao

コーティング初期に局所的な過剰水分
・シャクリ現象 ・スリップ現象
素錠の一部が
膨潤し、剥離
凹み
ピーリング
剥離部分にミストが
掛かりコーティング 凹み

乾燥度すればフィルム化による
フィルムは収縮し 凹み
引張力

凹みができる
フィルムの下は空洞
面荒れ エロージョン

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第1部 第2章 エロージング 過剰水分 Confidential
錠剤の挙動
他社例 スリップ現象 シャクリ現象

バッフル: プレートバッフル
時々流動が停止

転がりが止まる

穴ぼこ
面荒れ
錠剤の飛び散り

ピーリング

ピッキング

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第1部 第2章 ッロージング 過剰水分 Confidential

面荒れ錠
面荒れ錠
刻印が潰れて読めない
エロージョン
(オーバーウエッティング)
コーティング初期にミストが大きく、液速度は過剰

◆液が短径方向に流れている
◆ミスト面(被膜)が垂れて盛り上がっている
面荒れ錠 ◆スプレー液が過剰気味の場合は
刻印の中は比較的平滑になる
15 黒っぽい点は顕微鏡の汚れ
第1部 第2章 エロージング 過剰水分 Confidential

刻印が埋まり錠 刻印埋まり錠 エロージョン(オーバーウエッティング)


刻印崩れ錠
コーティング初期の
スプレー速度の過剰
ミスト径の粗大
局所的な水分の過剰
錠剤面―ガン距離の接近
アトマイジングエアの不足

⇒ 排気温度 : 38~40℃

刻印埋まり、刻印崩れの場合は、
1)前加温で発見できれば、
錠剤硬度の不足や脆さが原因
2)コーティング開始~10分程度で発見される場合は
初期スプレー液速度の過剰 と 回転数が過剰
錠剤流れの乱れ (シャクリ現象)
前加温の不足
アトマイジングエアの不足又はリバウンド
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第1部 第2章 エロージング 過剰水分 Confidential

スプレーノズル噴霧角度 <垂直噴霧>

穴ぼこ

飛び散り

錠剤流れの停止

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第1部 第2章 エロージング 過剰水分 Confidential

タワミ シワ 長細い変形錠
錠剤は短径方向に転がる
高水分状態ではフィルムは水分により伸びている(膨張)
素錠との間に剥離が発生

錠剤と膜剤との付着が不足
錠剤の収縮
膜剤の伸長
膜剤の急激な乾燥
膜剤の急激な湿潤

錠剤の転がりにより皺ができる

対策 :コーティング中の錠剤水分を下げる
・スプレー液速度を減少
写真:(株)パウレック長谷川氏から拝領 (給気温度、給気風量、回転数のUP)
コーティング初期のスプレー液速度が過剰で、素錠表面が水分を吸収し膨潤する。
フィルム層ができた後に乾燥により、水分の気化と素錠の収縮で層との間に隙間ができ、タワミになる
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第1部 第2章 エロージング 過剰水分 Confidential

コーティング不良 :面荒れ(オレンジピール) の原因と対策


表面荒れの状態を調査する。 特に切断して断面をみる
断層をみて、素錠表面が剥離などしていないかを観察する
① 素錠が変形している場合の多くは、コーティング初期の過剰水分
特に、素錠に崩壊剤など膨潤剤、吸水性原料を含有している場合。
② コーティング面の表面のみの凹凸の場合は、コーティング終期の過剰水分
ピーリングを原因の場合と 終期に液が過剰か、回転不足(被膜の伸び不足)
③発生率
不良錠の発生率も原因究明に役立つ

発生原因
1)スリップ現象
2)素錠への局所的吸水崩壊による表面剥離

対策
1)の場合 :発生は機械的な改造
2) スプレー液量の減少、 給気風量or温度のUP 等で排気温度をUPする。
例えば、45℃以上(TC-5の場合)
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第1部 第2章 エロージング 過剰水分 Confidential

エロージョン (オーバーウエッティング) 面荒れ


スプレーコーティング中の局所的な水分の増大
スプレーミスト径が大きい
スプレー液粘度が高い :展延の不足
添加剤の分散不良 :液の均一性の不足
分散不良:ホモジナイザー, コロイダルミキサー, 擂潰機

写真:(株)パウレック長谷川氏から拝領

この錠剤表面のように素錠の状態に溶解したような面がなく、
表面の凹凸を押えたような面状になっている場合は、コーティング終期の
スプレーミスト径が大きい、スプレー液粘度が高い、添加剤の分散不良
が原因の場合が多い
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第1部 第2章 エロージング 過剰水分 Confidential

フィルムコーティング時に定期的にサンプリングして重量(被膜量)確認する
サンプリング
スプレー停止
コーティング中の水分を含有した状態
コーティング錠の最終被膜量

乾燥
水分 %

NIRで
連続的に
測定 被膜量:**㎎

素錠重量

予熱時最終重量
コーティング時間短縮のために
スプレー初期は 液速度を更に増大
予熱終了 錠剤表面がほぼ均等に
液速を抑え ピーリング防止のために
スプレー開始 排気温度はやや 被膜されると
回転数をUPする
前加温 液速度を若干増大し、
高くする
①コーティング時間短縮 スプレーⅢ
②被膜の展延向上を図る
スプレーⅠ
スプレーⅡ
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コーティング時間
第1部 第3章 ピッキング ピーリング くぼみ錠 Confidential

第3章
ピッキング ピーリング くぼみ錠
孔あき錠

爆発錠
陥没錠

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第1部 第3章 ピッキング ピーリング くぼみ錠 Confidential

コーティング錠の表面に凹んだ個所を認める
凹み個所の下層部はコーティングされている
位置に法則性はない
ピッキング (孔あき) くぼみ錠
スプレーミストが不均一か、乱れ(偏り)が発生し、
粗いミストが付着した部分が剥離
細かいピーリング:コーティング後期にミストが大きく、
ミストが付着した部分が剥がれた痕跡

通常、後半スプレー液速度を増大する。
アトマイジングエア量をUPしないため、ミストは粗くなる傾向を示す。
錠剤の膜厚は分厚くなっているので、膜同士が付着しやすくなっている
(小さいピーリングは外観検査機で除去し難い) 対策:ドラム回転数をUPする
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第1部 第3章 ピッキング ピーリング くぼみ錠 Confidential

陥没錠 (ピッキング)
フィルム面が爆発したように見える
爆発錠
スプレーノズルのセット不良による液のボタ落ち
フィルム破片は排気に吸引される場合が多い
液垂れした部分が素錠の表面を剥ぎ取り、剥離

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第1部 第3章 ピッキング ピーリング くぼみ錠 Confidential

ピーリング 双子錠の剥離面 双子錠 と ピーリング


ピーリングは、平滑面同士で付着すると
双子錠ができる
剥離するとピーリング

コーティングにおける荷重とピーリング
仕込量が大きいほど錠剤に荷重がかかる
ミストが大きい場合
メクレ部分
平滑な接触面が大きい場合
双子錠を手で剥がしたもの
ミストの乾燥が遅い場合
フィルム層の水分が高い場合(排気温度が低い)
錠剤が大きい場合
フィルムが厚くなり、水分は低くてもフィルムの付着力が増大する場合がある
コーティング後半はコーティング層が分厚くなるので、層自身の粘性も増大するので、
錠剤間の付着性も増大する。
この分だけ、徐々にドラム回転数をUPすること
パン底部の輸送領域のコーティング錠は転がらずに荷重による圧縮を受けている
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第1部 第3章 ピッキング ピーリング くぼみ錠 Confidential

コーティング初期に薄い被膜の上に液滴または
コーティング面の孔あき
大きいミストが付着し、他の錠剤に付着し膜が剥がれる
コーティング初期のピッキング Capping傾向の錠剤に発生しやすい かえり
ピッキング
対策; ・ キャッピング傾向を抑制(上杵面に多い)
・ PEG6000などを添加し 摩擦を抑制
・ 初期(下掛け)時のスプレー中の水分を減少
・ 給気の湿度調整
(スプレー初期の過剰水分でのコーティングを防止)
・ 仕込量を減少(錠剤同士の付着剥がれの抑制)

・コーティング初期はミストを小さくして、 剥がれた上にコーティングが施される
製品温度を高くし、低水分でコーティングする
(素錠中の吸湿性原料に注意)

コーティング初期の剥がれたものは
薄いため排気へ
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第1部 第3章 ピッキング ピーリング くぼみ錠 Confidential

Peelingのメカニズム 剥離した破片は他の錠剤に付着
対策:ミストを細かくし、
ミスト(液滴) 水の浸透を抑制する

水分が素錠内に拡散

水分が拡散し僅かな膨潤(膨張) 摩擦
断層 → 空間 剥離
断層から剥離

フィルム強度
収縮

剥離

対策:PEG6000などを添加し摩擦を減少させる場合もある。
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付着した側が突起、剥離した錠剤が孔あき錠になる場合もある。
第1部 第3章 ピッキング ピーリング くぼみ錠 Confidential

ピーリング (剥離錠)
コーティング初期の層の薄い時期に 脆い素錠表面をえぐりとるように剥離する場合と。
コーティング後半にコーティング液速度が過剰((ミストが大)の場合に
膜が分厚くて錠剤同士、付着し、剥離又は付着する場合がある

コーティング層が厚くなると、水分の浸透がなく
大きい剥離を認めなくなることが多い。

対策
:回転数のUP
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第1部 第3章 ピッキング ピーリング くぼみ錠 Confidential

ピーリング 素錠自身に脆い、強度の低い部分がある場合
打錠時に、空気の抜けが悪く、キャッピング傾向がある場合
APIの含有量が多く、APIが嵩高い
錠剤が大きい
錠剤のRが深い
臼と杵の公差が小さい など
錠剤の上面に空気が溜まって表面荒れができる

気体部分の膨張

弱い断層

膨脹
錠剤の内部強度が弱い
対策:PEG6000などを添加し
摩擦を減少させる。

他の錠剤との衝撃、付着で剥離 打錠時のキャッピング対策
ミストによる水分の偏り
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第1部 第3章 ピッキング ピーリング くぼみ錠 Confidential

膜剥がれ 穴あき錠ができている

素錠の内部まで剥離している
×200
膜剥がれ

×50 穴あき錠ができている

穴があいた後フィルムがかかっている

×200
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第1部 第3章 ピッキング ピーリング くぼみ錠 Confidential

FCコーティング機とピッキング
1) 錠剤とFCコーティング機内面との剥離
錠剤―錠剤のピッキングよりも早い段階で発生する
錠剤はバッフルの根元の付着する
付着した錠剤のフィルムは剥がれ易い
バッフルに付着したフィルムは他の錠剤に付着してか
パンチング板から排気に廃棄される。
バッフル バッフルに付着した錠剤の落下で気づく場合が多い
対応; バッフル根元に付着を発見したら、直ちに
液速度を減少、風量UP 回転数UPするなどの対策をとること
回転数UPとスプレー液速度Downは即効果
給気温度UPは効果が遅い
2)錠剤―錠剤間のピッキング
通常、バッフルの根元に錠剤付着が発生したのち発生する場合が多い
錠剤の剥がれた部分はピーリング孔に、 付着した部分は突起になる
錠剤の平面同士が付着しやすい 双子錠
カプセル型錠 おむすび型錠 平錠 など

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対応 ;液速度を減少、 風量UP 給気温度のUP 回転数のUP など
第1部 第3章 ピッキング ピーリング くぼみ錠 Confidential

スティッキング
① ピーリング現象で剥離した切片が濡れた錠剤表面に付着
② バッフルやドラム壁面へコーティングされた原料、被膜が蓄積したものが、
剥離脱落した切片が濡れた錠剤表面に付着

コーティング中期~後期
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第1部 第4章 フィルムのポッチ Confidential

第4章

フィルムのポッチ
パン内壁被膜の付着

膜剥がれ

33
第1部 第4章 フィルムのポッチ Confidential

コーティング表面の凹凸
突起
ポッチ?

HPMCの一部ゲル化したスプレー液を噴霧?

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第1部 第4章 フィルムのポッチ Confidential

被膜層が完全に剥がれて素錠表面が見える
フィルム錠の ポッチ 縁部分が盛り上がっている
×50
×50

×200

正常な表面

×50

×200
スプレー液量過剰(水分過剰)におけるピーリング
35
第1部 第4章 フィルムのポッチ Confidential

フィルムコーティング錠のポッチ

×50 ×200

36
第1部 第4章 フィルムのポッチ Confidential

フィルムコーティング錠のポッチ ×200

37
第1部 第4章 フィルムのポッチ Confidential

フィルムコーティング
剥がれた被膜の付着錠

剥がれた被膜は付着
この部分は被膜同士の結合力が大きい
ミストが集中又はミストが大きい

38
第1部 第4章 フィルムのポッチ Confidential

フィルムコーティング 不良錠
ポッチ

39
第1部 第4章 フィルムのポッチ Confidential

膜剥がれ錠 中は空洞
パン内壁の付着層が剥離し、錠剤に付着
バッフル先端に付着した付着層が剥離
錠剤はパン内壁に付着して付着層を剥ぎ取る
その上にコーティング

刻印の上にフィルムが被さっている
覆っているフィルムの表面は比較的円滑であり、
別の錠剤のコーティング被膜をはがして付着したようには
見えない
(剥がしたのなら表面側に粉末が付着しているはず)

刻印の部分は空洞 被さっているフィルムも、錠剤表面のフィルムも
刻印内部にもコーティングが施されている
40
刻印部のフィルムも 厚さが約15μmで同等
第1部 第5章 肌荒れ 展延不良 Confidential

第5章

肌荒れ
展延不良

41
第1部 第5章 肌荒れ 展延不良 Confidential

錠剤の形状とコーティング
錠厚と錠径は同じ錠剤
(1) 錠剤検査に錠径側と錠厚側の区別がない
(2) PTP包装で錠径側と錠厚側の区別がない

(3)コーティング時に転がりやすいので、
長径側に先端のコーティング層が薄くなる

錠剤形状はカプセル型で厚さと胴径が殆ど 同じため、短径方向に転がりやすい
このため長径方向の両端の厚みが 薄い傾向にある。

×200
×50 厚い
厚い
薄い

薄い

42
第1部 第5章 肌荒れ 展延不良 Confidential

錠剤の形状とコーティング
厚みと幅が同じオブロング錠は短径方向に転がる

横の面にミストが掛かりにくい
展延しにくい
ミストが掛かりにくい面

43
第1部 第5章 肌荒れ 展延不良 Confidential

肌あれ錠

ミストが粗い場合

展延がない

44
第1部 第6章 ブリッジング Confidential

第6章
ブリッジング
ロゴブリッジング
フィーリング
刻印埋まり

45
第1部 第6章 ブリッジング Confidential

ブリッジング (フィルムの浮き上り)
フィルムの裏に粉末が付着

過剰水分で下掛けを行ったとき

コーティング膜がない

水分が浸透して軟弱な部分ができる
フィルム(コーティング中)の過剰水分から、
錠剤の低水分への移行
刻印内をはぎ取る
フィルム膜が収縮する

フィルム強度が過大 液粘度が高い
コーティング中の水分が過剰
コーティング液の濃度が高い
コーティング途中からの乾燥が強い

46
第1部 第6章 ブリッジング Confidential
平成19年度 製剤機械技術研究会/固形製剤教育研修会
科研製薬総合研究所 大熊盛之
フィルムコーティング錠の断面 大谷追記

(走査型電子顕微鏡写真)
被膜
被膜 刻印部 刻印部

錠剤

被膜の収縮、引張
被膜の裏に粉末付着 ブリッジング
47
第1部 第6章 ブリッジング Confidential

刻印埋まり フィリング (フィルムの堆積)


ダスティング気味のコーティングの時に発生する
高温度でダスティング気味に噴霧したミストが刻印に入ると展延されずそのまま乾燥する
このミストの堆積で刻印が埋まる。
①錠剤とスプレーガン距離が離れすぎる場合
ミストの乾燥物
フィルム ②排気温度が高い場合:通常50℃以上
給気温度が高すぎる場合もある
③ミストが細かすぎる場合
発生の目安:排気温度:50℃以上で25㎝以上

素錠 対策:
1)錠剤とスプレーガン距離を短くする
このとき、パターンエア量をUPして
パターンを調整する
2)給気温度をさげて排気温度を下げる
大凡3~5℃下げる
:ピーリングが発生しない程度
3)アトマイジングエア量を減少しミストを
大きくする
48
第1部 第6章 ブリッジング Confidential

ロゴ ブリッジ ブリッジング (1)


素錠に浸み込んだ水分で
素錠表面が軟質になった場合 34~36℃
乾燥時のフィルム引張力でブリッジング
ブリッジング (2)

フィルムの乾燥収縮により刻印部剥離

フィルムが分厚くなるほど、フィルムの引っ張り力は増大する。
藤井氏拝領写真
49
分厚くなってブリッジングが発生する
第1部 第6章 ブリッジング Confidential

刻印埋まり フィリング (フィルムの堆積)


コーティング液速度を減少し、
排気温度を50℃以上でコーティングした錠剤
割線が大きく深い
割線の部分でコーティング液(ミスト)の展延がない。

コーティング
:HPMC, タルク、 酸化チタン、
乳糖、三二酸化鉄2種

平べったい錠剤の場合、液速度(水分)を増大させられない。(ピーリングを懸念)
従って、排気温度は高い(低水分コーティング)
このため、展延力のない割線や刻印に埋まりができやすい
対策:やや液速度を増大し、排気温度を下げて、液自身の展延で面を円滑にする。
50
第1部 第6章 ブリッジング Confidential

スプレーミストと被膜と素錠
高温度 適正な温度 低温度
=低水分でコーティング =適正な局所水分 局所的な高水分でコーティング
ミスト 表面が乾燥し ミスト ミスト
ミストの粘度は増大

ミストの水分が高い
ビチャ
素錠
素錠 水が浸透し素錠表面は膨潤し
素錠 断層ができ剥離する
スプレードライ直前で付着は 素錠や初期被膜に水が残留
するが、展延できない すればガス化
素錠
割線刻印の中
割線刻印の中

素錠 ビチャ
ミストが展延して被膜になる 割線や刻印は錠剤同士が擦れ
ピーリングが発生しないように 合わないので浸透した水は
51
巣が出来る 回転数をUPする そのまま乾燥
第1部 第6章 ブリッジング Confidential

ダスティングと溶出 ダスト
腸溶性コーティングは水分を高めで均一にコーティングする
リバウンド
コーティング中に擦れて
エッジ部分が最も膜厚が薄い スプレードライで
ダスト化
酸溶液に浸すとここから浸透する
腸溶性被膜
ダスティングと耐酸性

素錠

◆乾燥気味にコーティング
◆給気風又は排気風の方向が乱れる
被膜にダストがはいると耐酸性が劣る 特にノズルの背後に給気ダクトがある場合
被膜の緻密さがない場合 ◆パターンエアが大きく、アトマイジングエアが乱れる場合
(乾燥状態でコーティング) ◆仕込量が極端に少ない場合
52
第1部 第7章 めくれ錠 Confidential

第7章

めくれ錠
剥がれ錠
面荒れ錠
孔あき錠

53
第1部 第7章 めくれ錠 Confidential

コーティング層の捲れ コーティング層の剥がれ
ピッキング(孔あき錠) フィルム強度が軟弱

コーティング初期(下掛け)時に
コーティング液速度が多く、水分が過剰で
素錠の表面をえぐるようにして
コーティング層が剥離
液速度が多く、水分過剰の場合に
表面のブツブツができる

孔あき錠
捲られた部分が盛り上がって、孔あき錠
素錠表面が荒れているか
強度が弱い場合のも剥離する。

ポリマーの付着力、展延性が不足する場合 (オパスプレーはこのような面になりやすい)
54
第1部 第7章 めくれ錠 Confidential

コーティング層の捲れ
最もコーティング層が薄く、衝撃がかかり易い部分からコーティング層がめくれている

捲れた裏面に素錠の粉末が
付着している

錠剤面に凹凸ができている

コーティング初期のスプレー液速度が過剰であり、
水が素錠面に浸み込み、強度が弱い部分を形成
フィルムが乾燥し、収縮する引張力で、フィルムが捲れて、
その裏面に弱くなった素錠の粉末が付着している。

対策; 完全に捲れて素錠面にコーティングすると面あれ

1)給気温度を高くし、前加温時間を延長
:基準排気温度45~50℃
(スケールが小さい場合は温度ムラに注意)
2)コーティング初期のスプレー液速度を徹底して減少する。
基準:約30分間初期温度を維持する
3)ドラム回転数を下げる:素錠の割れ欠けを防止。
一旦フィルムが巻くと強度は強くなるので回転数UPができる。
55
第1部 第7章 めくれ錠 Confidential

コーティング層のめくれ
最もコーティング層が薄く衝撃がかかり易い部分からコーティング層がめくれている

めくれ後にも
コーティングされている

56
第1部 第8章 剥がれ錠 Confidential

第8章

剥がれ錠
膜剥離錠

素錠の強度が低い
⇒Stickingが起こりやすい場所
(摩損しやすい)

⇒輪っこ錠

57
第1部 第8章 剥がれ錠 Confidential

剥がれ錠 強烈なピーリング錠
膜剥がれ
錠剤表面が脆い素錠にコーティング

コーティング初期はスプレー液速を下げて、排気温度48℃
終期にスプレー液速度をUPし、排気温度を38~40℃
コーティング被膜ごと剥がれた状態

×50 膜厚み

×200
削れ(初期)

58
第1部 第8章 剥がれ錠 Confidential

剥がれ錠 錠剤強度が弱い部分
Stickingが発生しやすい部分

素錠までえぐれているが、表面に僅かにコーティング層
かなりコーティングの終盤にピーリングが発生
断面

59
第1部 第8章 剥がれ錠 Confidential

2段Rの錠の継ぎ目
R1とR2の間は
錠剤面に垂直に圧縮
錠剤硬度が弱い部分が出来る

R2 圧縮変形
F1

粒子のズレ(移動)
摩損度試験でこの部分が摩損しやすい
打圧が低いのでStickingしやすい
フィルムコーティング時に、この部分で剥離(ピーリング)が
60
発生しやすい
第1部 第9章 イボ付き錠 Confidential

第9章

イボ付き錠
ツノ錠

コブ錠

61
第1部 第9章 イボ付き錠 Confidential

こぶ錠
同時に双子の錠剤ができていることから局所的に過剰水分

イボになる前の面荒れ?

62
第1部 第9章 イボ付き錠 Confidential

イボ付錠 発生: ・スプレー液速度の過剰な時


・環境湿度が高い時
イボの原因(仮定): ・スプレー液がTC-5 エタノール-水溶液
・スプレー過剰などによる下層のコーティング層または素錠中の水分が気化?
→ イボ形成
・素錠もしくは残留溶媒の蒸発成分膨張時の凸部(イボ)生成?
・コーティング機内のダストが多く、機内壁に付着した粉末(璧屑)が錠剤表面に付着?

63
イボになる前の面荒れ?
第1部 第9章 イボ付き錠 Confidential

イボ付錠 コーティング条件で発生する HPMC


1)給気風の湿度が高く、高水分でフィルムコーティングされている。
2)コーティング当初,又はコーティング途中から液速度が上昇し、過剰水分となった場合
乾燥時に蒸気が固まり、表面の収縮でこぶを形成
3)コーティング直後の急激な乾燥で、内部から拡散する水分(蒸気)でこぶを形成し、
液温度の低下で収縮し、イボになる。

高水分膜
素錠 低水分膜

又は気泡
素錠

低水分膜
乾燥による水蒸気

高水分膜
素錠
収縮
64
第1部 第9章 イボ付き錠 Confidential

HPMCコーティング液のイボ錠 (状態1)

推察;
コーティング温度が低く、高湿度の給気により
素錠又はフィルムの中へ残留溶媒が増加し、
コーティング機の高排気風量により、
フィルム形成は速いので表面に閉じ込められた

現象;
1)給気温度が低い
2)排気温度は低いため水分/エタノールが素錠に移動
3)スプレー液速度:300~400g/min(ガン3基)
錠剤の表面全体にある ×150 スプレー液速度を増大するほどイボ生成は増大

4)排気風量、排気吸引の過大
小型機ではイボはない

対策;
・スプレー液速度を減少し、乾燥気味条件とする
・露点制御給気装置を設置
イボは根元部分もフィルムで覆われている。
65
第1部 第9章 イボ付き錠 Confidential

HPMCコーティング液のイボ錠 (状態2)
ナイフで2つに切り、フィルム断面を観察

エッジ部分は綺麗に同じ厚みにコーティングされている

×50

×200
フィルムの盛り上がりがある。
フィルム層の厚みは同じ
フィルムの盛り上がりがある。
フィルム層が厚い。ミストが付着しているように
66 見える
第1部 第9章 イボ付き錠 Confidential

夏場における給気(温湿度)の調整(1)
冷却機で結露まで冷却
(空気は水10g/乾き空気1kgの空気になる)
相対湿度100%

14〜15℃に
冷却し結露
湿度調整機で
絶対湿度を調整する
相対湿度50% 絶対湿度10g/乾き空気1kgの線
加熱

14℃
25℃ 給気温度℃
(露点)
基準空気
◆外気が14℃以下であれば、絶対湿度10g/乾き空気1kg以下の乾燥空気は給気される
◆従って、湿度調整機がない場合、
水分を含んだ給気を送るので、コーティング被膜は高水分の被膜になる

高水分の被膜を急激に乾燥すると乾燥ムラが起きて、イボ錠ができる
67
第1部 第9章 イボ付き錠 Confidential

冬場における給気(温湿度)の調整(2)
もし、湿度調整機を設置しないのであれば、
①外気又は機械室の温湿度を測定し、(天候が急変すればその都度)
②外気が14℃以下であれば、絶対湿度10g/乾き空気1kgに不足する量の
スプレー液速度を増量してスプレーする。
下図で仮に3g/1kg不足する場合は< 3g×風量(質量)分の増量 >
理論的にはこのようになるが、給気の水分とスプレー液量の水分の違いはある

相対湿度100%

相対湿度50%

gの線
加熱

14℃
25℃ 給気温度℃
(露点)
68
基準空気
第1部 第10章 過剰艶 Confidential

第10章

過剰艶
艶出し剤の影響

錠剤の滑りの影響

艶出し操作の影響
添加量
艶出し時間
転がりがなく滑りのみ

69
第1部 第10章 過剰艶 Confidential

過剰艶
① コーティング溶液が過剰である場合、
② スプレーガンが錠剤に近すぎるときなど
局所的に錠剤表面の艶が過剰になる

全体に艶が出るのではなく、局所的に発生する

コーティング終期に発生

色ムラ
下掛けコーティング後に、表面の凹凸をなくす目的で、
通気しながらドラム回転だけをしていたところ

70
艶が出て液が掛かる錠剤 と 掛からない錠剤に別れる 場合がある
第1部 第10章 過剰艶 Confidential

錠剤表面の面あれ(テカリ)
転がりよりも滑ってはいないか?

メトロース(メチルセルロース)を用いる錠剤のコーティング

71
第1部 第11章 色ムラ Confidential

第11章

色ムラ
フィルムコーティング条件のムラ

スプレー液の色素等の分散不良

72
第1部 第11章 色ムラ Confidential

白い斑点錠
◆ノズル,ノズルアームなどに堆積したダスト(微粉末)が
コーティング中に落下して錠剤表面に付着したもの
パンコーティングでスプレーする場合に発生しやすい
ダスティング気味でコーティングした場合に発生
一旦、ノズルやアーム(配管)に付着した粉末は落下させない

◆スプレー液調製時に、分散するのにホモジナイザーを用いずに色素を分散させた

73
第1部 第11章 色ムラ Confidential
第7期第6回製薬技術研修会
2012/10/11信越化学工業㈱)
TC-5 の水系コーティング

色むら Color Variation


1. コーティング量が少ない
2. パン内の混合状態が悪い
バッフルの形状を検討する

3. スプレー状態の改善
アトマイジングエア量を増大
パターンエア量を調整
スプレーガンの数を増加
錠剤-ガン距離を広げる

4. コーティング液の固形分濃度が高い
固形分(基剤、色素)を少なくする
5. 素錠の隠蔽力が弱い
アンダーコーティングを施す
例えば、TiO2の増量
74
第1部 第11章 色ムラ Confidential

コーティング錠の色斑
着色したコーティング液をスプレーして、着色フィルム錠とする場合、
錠剤の手前と中央部、奥と中央部の錠剤の動きが小さく、手前の錠剤の着色が遅れる

充分に液が噴霧されるので
着色が速い領域

通常、1~2時間程度は濃い色に
混じって、薄い錠剤が観察される。
この錠剤のコーティング層の厚さは
液が掛からないので 薄いことになる。
着色が遅れる領域

被膜成分によって、又は回転数の増大により、流動面が広がる傾向が場合がある。
対策:
・ ガン-ガン距離を広げて、 パターンエアを調整して、手前ギリギリから、奥のギリギリまで
均等にスプレーできるようにする。
・ バッフル形状を パウレックコーター-EVO のようにして、錠剤を手前から中央に
強制的に移動する
75
第1部 第11章 色ムラ Confidential

錠剤の切断面 着色:やや薄い

FC被膜厚み

着色:濃い

28.4μm

膜厚:34.6μm
着色:薄い

被膜厚みは35μm以上を目標にすること
被膜が薄いときの厚みは均一ではない 膜厚:21.7μm

76
第1部 第11章 色ムラ Confidential

ブラックネス (黒ずみ) ブラックネス錠

酸化チタン:20%以上添加した場合に、コーティング機内部での摩擦で錠剤が黒ずむ

酸化チタン:30%
黒ずみの成分(X線マイクロアナライザー)

Fe Cr Ni
対象錠剤 ND ND ND

黒ずみ錠 300 60 30

SUSの成分

77
第1部 第12章 削れ錠 Confidential

第12章
けずれ

削れ錠
削れと剥がれの違いをみること

削れ は、回転数が高すぎて
錠剤が滑る場合に起こりやすい

78
第1部 第12章 削れ錠 Confidential

削れ錠 錠剤が転がればスベリ摩擦はない
スベリ摩耗

フィルムが剥げる
白い下地で、錠剤ごとの色斑
仕込量が増大するほどスベリ摩耗大
約0.02㎜錠厚低下(摩損)
乾燥(ダスティング)気味にコーティング
このため、コーティング膜が脆い
錠厚が減少する
対策;
(1)スベリを抑制するため、2段R錠とする。
(2)仕込スケールをDownする。
300㎏⇒120㎏(荷重の減少) コーティング途中の錠剤
(3)コーティング機内での錠剤流れを遅くする。 (回転数をdown)
(4)コーティングの前加温時にSt-Mgを微量散布する。
(5)排気温度を下げて、展延を強くし、コーティング膜の強度をUPする。
①給気温度をdown 給気風量をDown しスプレー液速度を速くする
②一膜できたら、給気温度、風量、スプレー液速度を調整してコーティングする。
79(6)PEGなどを添加して、滑り摩擦を抑制する。
第1部 第12章 削れ錠 Confidential

錠剤形状 と 回転数

流れ パンの回転数が増大すると
滑り 平錠は流れ・滑り傾向
1方面にミストが集中的にかかり、
ピーリング傾向が、局所的に認める
隅角平錠

数は少ないがピーリングは大きい
一方面にへこみや刻印崩れが
転がり できやすい

適正な回転数がある

2段R錠

全体にミストがスプレー
80
第1部 第12章 削れ錠 Confidential
第7期第6回製薬技術研修会

TC-5 の水系コーティング 2012/10/11信越化学工業㈱)

削れ/付着 (Picking/Sticking)
1. スプレー速度が大きい

2. スプレーミストが大きい
アトマイジングエアを増大

3. パン回転数が遅い
⇒転がらない

4. 乾燥が不十分
スプレー液速度を小さくする
乾燥条件の改善
⇒被膜が軟らかい
5. スプレー液の分布不良
アトマイジングエアを増大
スプレーガン数を増加

削れた面が円滑な場合は、パン回転数が高すぎ、スリップによる剥がれである
81
第1部 第13章 付着錠 Confidential

第13章
付着錠
水濡れ錠
双子錠
ボタ落ち錠
液垂れ錠
汗かき錠

付着錠が 剥がれたら、ピーリング

局所的な高水分のためピーリングと一緒に発生する場合もある
82
第1部 第13章 付着錠 Confidential

コーティング不良錠

水濡れ錠
(1)スプレーノズル アーム内の残水

(2)洗浄ノズル内の残水

(3)Screen と 多孔板又はパックングとの隙間

水濡れ錠の多さ、ひどさ などで位置を想定する

ノズルのセットを確認する

剥離錠で、稀に発生する場合は、
ノズル内又はチューブに水が残留して、コーティング開始時に、漏れる場合もある

83
第1部 第13章 付着錠 Confidential

液垂れ錠 水ぬれ錠
・アトマイジングエアの噴霧がない
スプレー液のボタ落ち ・液ホース接続誤り,破損
・パンの乾燥不十分
・ノズルのセットミス
・ノズル先端の付着による液垂れ

2~4錠が付着
84
錠剤が分離すれば、ピーリングになる
第1部 第13章 付着錠 Confidential

ピーリング錠と兄弟
素錠の形状 と 付着錠
高さ(錠厚)と短径(幅)がほぼ同じオブロング錠剤は、
形状の判別(高さ、幅)が付き難いため 平面が多く、双子錠ができやすい
錠剤印刷機、錠剤検査機にかかりにくい
オブロング錠

平錠はボールフィーダーで擦れて、 素錠に適する錠剤
錠剤の頭部分が黒くなる場合がある
僅かにRを持った錠剤
特に研磨作用がある錠剤

錠剤の流れもよく、PTPに供給するとき、
ダルマ方式にも適する
85
第1部 第13章 付着錠 Confidential

フィルム錠の双子錠 (フィルミコーティングの付着錠) Φ7.0㎜錠

×200

液が過大のため、割線内が綺麗

粗い液滴(ミスト)か? 液の漏れか?

×200
86
第1部 第13章 付着錠 Confidential

錠剤同士の付着錠 :双子錠
ノズル先端の詰まり
ノズル先端にスプレー液が固着した場合

ミストが偏る、又は液滴の落下により
双子の錠剤(ピーリング)ができる場合がある
特に、回転数が低い場合にできる
(3rpm⇒5rpmで 解消する場合もある)

平錠、カプセル型のように平面がある錠剤に
発生する場合が多い
ダスティング

87
ダスティング気味のコーティング条件の時に注意
第1部 第13章 付着錠 Confidential

糸引き現象の抑制
Eudragit
高いアトマイジングエアでは, Eudragitは凝集(重合)する
(1) 低圧力 0.2MPa
(2) 高風量
(3) ノズル孔径を広げる :液速度(スピード)を減少する
(4) 低温でコーティング
:給気温度 :40℃以下
:排気温度 :27~30℃
(スケールが大きくなるほど低くすること)

PVAコポリマー
結合力が強いので、乾燥気味でコーティング
(1)給気温度を高くする 給気温度 :80~85℃
(2)排気温度を高くする 排気温度 :50℃程度
(3)ミストは小さく 高圧力、 高風量
88
第1部 第13章 付着錠 Confidential

汗かき現象 着色錠
コーティング錠の保管中に錠剤表面が白くなる現象
シュガーコーティングでよく発生する現象
一種の結露現象
1)錠剤が温かいまま、密封して、20℃程度の倉庫 又はそれ以下の場所に保管する
コーティング錠は表面が乾燥して、排気温度が上昇し、冷却工程を入れても、
錠剤の内部水分は残存している。
また、密封により内部温度、水分は拡散する。
これにより、ドラム缶側面に近い部分が結露又は吸湿する。
2)水分により、錠剤表面は退色する。

3)対策
・ 一昼夜程度ドラム缶を解放してから密封
・ 冷却時間を徹底して延長する
・ 平たい容器又は濾布に受けて一昼夜放熱させる

(顆粒剤など細かい粒の場合は38℃以下に冷却後収缶)
89
第1部 第14章 打錠障害の素錠をコーティング Confidential

第14章
打錠障害の素錠をコーティング
Capping錠
Sticking錠

Cappingはコーティング中に剥離する場合がある

Sticking錠をそのままコーティングする場合がある

90
第1部 第14章 打錠障害の素錠をコーティング Confidential

コーティング機内でキャップが剥離する場合がある
CappingのDNAを持った錠剤
粒子間の付着力が小さい場合

結合力の不足
打錠機の回転数が速く、粉末中の空気の抜けが悪い
・過剰滑沢剤混合 キャップ部分
キャップ部分
・滑沢剤混合機での過剰滑混
・バックバンドからの供給が過剰
・攪拌フィーダーの回転数の過大
・滑沢剤量の過剰
・過剰打圧 (応力の増大) など

91
打錠途中で発生する場合は攪拌フィーダーでの過剰滑沢剤混合の場合が多い
第1部 第14章 打錠障害の素錠をコーティング Confidential

Sticking(エクボ錠)をコーティング 写真はコーティング錠

ヘコミ錠 APIが付着性あり この部分の盛り上がりがない


回転盤にも固着

打錠時、上杵にSticking

上杵に付着

Sticking錠にフィルムコーティング

92
第1部 第14章 打錠障害の素錠をコーティング Confidential

へこみ錠 FC錠 凹み錠


エクボ錠

崩壊剤

剥離部分の層の厚みが他とさほど差がないことから
コーティング初期に天部分が剥離

①天部分は強度が弱い
②ここにミスト水分が浸透して膨潤し、
剥離する
③素錠成分に強力な膨潤性崩壊剤
を含有する
93
第1部 第14章 打錠障害の素錠をコーティング Confidential

崩れ錠
コーティング中に帯とキャップの応力が過大に
なる部分が崩れた錠剤

キャッピング傾向錠を
そのままコーティングし、印刷したもの
エッジ部分の大きい錠剤
上杵側
94
第1部 第15章 コーティング時の割れ欠け Confidential

第15章
コーティング時の割れ欠け
クラッキング

コーティング機のパンチング板に挟まる
排出時の衝撃
保管時のガス等でひび割れ

95
第1部 第15章 コーティング時の割れ欠け Confidential

コーティング中の欠けの発生 欠け錠

パウレックコーターのヘーリンボン巣板に挟まる。

→ 丸孔に変更

スケールアップすれば荷重で割れ錠が発生

コーティング機を決めるときに錠剤を持って、
孔に引っかからないことを確認すること。
また、排出ダンパー、バッフル、排出ガイド等
に傷や突起がないかを細かく確認する
こと
96
第1部 第15章 コーティング時の割れ欠け Confidential

ひび割れ錠 素錠に生薬成分を含有
TC-5を基剤としたコーティング錠
バッフル又はパンチング板継ぎ目に引っ掛かり割れた錠剤

強い衝撃
コーティング錠は装置に引っ掛かりがあると、錠剤の荷重で割れる。

コーティング機を選定するときに、前もって錠剤を用いて引っ掛かりがないことを確認すること
97
第1部 第15章 コーティング時の割れ欠け Confidential

ひび割れ錠
大きい排出ダンパーと丸パンの公差(隙間)
コーティング錠の欠け、傷発生の原因
・このような隙間、錠剤が引っ掛かる部分、
バッフルの傷などは検収時に徹底して調査すること
・薄い錠剤、エッジがある錠剤をコーティングするときは
錠剤をあてがって引っかからないことを確認すること

引っ掛かりによりエッジ部の欠け

錠剤の荷重+錠剤流れの力が
モーメントで加わる
大きい割線がある場合も引っ掛かりで
錠剤の流れが停止した時に割線に
引っ掛かり、割線周辺で欠け(傷)ができる ダンパー
98
第1部 第15章 コーティング時の割れ欠け Confidential

錠剤コーティング層のひび割れ
素錠中に含有するクロスカルメロースNa の膨潤による

経時変化(過酷試験)
コーティング錠の吸水による崩壊剤の膨潤

99 シュガーコーティングの場合は被膜が薄いエッジ部分に発生する場合が多い
第1部 第15章 コーティング時の割れ欠け Confidential

バッフルが高い位置にあるとき、転落落下領域にあり、
錠剤と強い衝突が発生し、壊れる
転落流動域にバッフルがないため 転動落下領域
衝突は発生しにくい 錠剤の速度が速く激しく

錠剤速度;低い

錠剤速度;低い
他社装置Aのブーメランバッフル、 スタティックバッフルは激しい落下箇所にバッフルを置き、
錠剤の表面を撹拌し動かそうとしている
パウレックコーターは底の部分を手前から奥に動かし、ピーリングなどの防止を図り、
100 錠剤に優しい動きを目標としている
2022年度 第11回 パウレック webセミナー Confidential
コーティング工程2回目

ご清聴感謝致します
ご指導を頂いた
元塩野義製薬kk藤井敏郎様
武州製薬KK
日本イーライ・リリー製薬KK
ニプロKK 医薬品研究所
ニプロファーマKK鏡石工場
KKパウレック
Fette compacting
の方々に感謝します

KKパウレック
101
2022/11/16 大谷茂義

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